インタプリタかなくぎ流

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フィンランド語 6 … 名詞に格語尾をつける

フィンランド語は名詞や形容詞が格変化し、格の数は単数複数合わせて30もあるそうです。おお……。

まずは名詞に、「所格」の格語尾「-lla / -llä」をつけて「〜の上に/で」、「内格」の格語尾「-ssa / -ssä」をつけて「〜の中に/で」としてみます。どう格変化させるのかを判断する手順は……

①単語の最後に「ie*1」があるかどうか。
②単語に「aou」があるかどうか。
③最後の音節に「kpt」があるかどうか。

……です。このほか「i」で終わる単語については、それが外来語であるかどうかの判断も手順に加わります。

●「katu(道)」に格語尾「llA*2」をつけてみる。
katu + llA
①単語の最後は「ie子」以外なので不変化。
②単語に「aou」があるので母音調和は「lla」。
③最後の音節「tu」に「kpt」があるので変化。t→d
したがって、kadulla(道の上に/で)。

●「pöytä(テーブル)」に格語尾「llA」をつけてみる。
pöytä + llA
①語幹の最後は「ie子」以外なので不変化。
②語幹に「aou」がないので母音調和は「llä」。
③最後の音節「tä」に「kpt」があるので変化。t→d。
したがって、pöydällä(テーブルの上に/で)。

Tämä on pöytä. これはテーブルです。
Pöydällä on kirja. テーブルの上に本があります。

●「metsä(森)」に格語尾「ssA」をつけてみる。
metsä + ssA
①単語の最後は「ie子」以外なので不変化。
②単語に「aou」がないので母音調和は「ssä」。
③最後の音節「sä」は「kpt」がないので不変化。
したがって、metsässä(森の中に/で)。

Tämä on metsä. これは森です。
Metsässä on talo. 森の中に家があります。

以下は「i」で終わる単語シリーズ。

●「tuoli(椅子)」に格語尾「llA」をつけてみる。
tuoli + llA
①単語の最後は「ie子」なので変化だが、「tuoli」は外来語なので不変化。
②単語に「aou」があるので母音調和は「lla」。
③最後の音節「li」は「kpt」がないので不変化。
したがって、tuolilla(椅子の上に/で)。

●「kassi(手提げ袋)」に格語尾「ssA」をつけてみる。
kassi + ssA
①単語の最後は「ie子」なので変化だが、「kassi」は外来語なので不変化。
②単語に「aou」があるので母音調和は「ssa」。
③最後の音節「si」は「kpt」がないので不変化。
したがって、kassissa(手提げ袋の中に/で)。

●「posti(郵便局)」に格語尾「ssA」をつけてみる。
posti + ssA
①単語の最後は「ie子」なので変化だが、「posti」は外来語なので不変化。
②単語に「aou」があるので母音調和は「ssa」。
③最後の音節「ti」に「kpt」があるので変化。t→d。だが、kptの前後に「s」がある場合は不変化。
したがって、postissa(郵便局の中に/で)。

●「Suomiフィンランド)」に格語尾「ssA」をつけてみる。
SuomissA
①単語の最後は「ie子」なので変化。i→e。(外来語ではない)
②単語に「aou」があるので母音調和は「ssa」。
③最後の音節「(mi→)me」は「kpt」がないので不変化。
したがって、Suomessa(フィンランドの中に/で)。

●「vesi(水)」に格語尾「ssA」をつけてみる。
vesi + ssA
①単語の最後は「ie子」なので変化。si→te。(外来語ではない)
②単語に「aou」がないので母音調和は「ssä」。
③最後の音節「(si→)te」に「kpt」があるので変化。t→d。
したがって、vedessä(水の中に/で)。

●「Japani(日本)」に格語尾「ssA」をつけてみる。
Japani + ssA
①単語の最後は「ie子」なので変化だが、「Japani」は外来語なので不変化。
②単語に「aou」があるので母音調和は「ssa」。
③最後の音節「ni」は「kpt」がないので不変化。
したがって、Japanissa(日本の中に/で)。

●「Helsinki(ヘルシンキ)」に格語尾「ssA」をつけてみる。
Helsinki + ssA
①単語の最後は「ie子」なので変化だが、「Helsinki」は外来語*3なので不変化。
②単語に「aou」がないので母音調和は“ssä”。
③最後の音節「nki」に「kpt」があるので変化。nk→ng。
したがって、Helsingissä(ヘルシンキの中に/で)。

なかなか大変です。が、とても機械的というか数式的で、これが徐々に身体に染み込んで自然にできるようになったら面白そうです。日本語でも「一本、二本、三本」が「いっぽん、にほん、さんぼん」と非母語話者には複雑怪奇としか思えない音の変化をしますよね。

これで例えば……

Minä olen Helsingissä. 私はヘルシンキにいます。

……という文章が作れます。名詞が格変化することで、日本語の「てにをは」を含んだような名詞になるんですね。

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Minä olen Helsingissä.

*1:iとeと子音。

*2:母音調和によって「lla」になるか「llä」になるか分からないので大文字の“A”を使ってこう書きます。

*3:何と首都名が、支配が長かったスウェーデン語由来なんですね。