インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

マルチタスクの乏しさを感じつつ和菓子づくり

和菓子ユニット「ユイミコ」さんの和菓子作り教室に参加してきました。ケーキなど洋菓子系の講座は多いですが、和菓子の講座は珍しいですよね。以前から一度やってみたいと思っていたのです。

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作るのは季節感あふれる「蕗の薹」と「桃の花」を模した練切の和菓子。先生のお手本はこちらです。蕗の薹の葉(萼?)のしわしわ感や、緑から白にかけてのグラデーション、桃の花の端正な佇まいや白い練切の下から透ける桃色、そして中央の蕊……美しい。

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まず最初に作り方の流れをすべて実演つきで解説があり、各自用意された食材をもとに蕗の薹と桃の花をそれぞれ2つずつ作りました。作るプロセスを写真に撮ればよかったんですけど、いやもう、それどころではない難しさ。気がついたら肩に力こもりまくりで、もくもくもくもく……と練切餡をこねていました。

教わったポイントとしては……

1.練切餡は乾きやすいので、ひと手順終わるごとにラップの下に置いて乾燥を防ぐ。
2.練切餡は手につきやすいので、ひと手順ごとに濡れ布巾で手をきれいにする。
3.練切餡の着色は食紅のような着色料で。ほんの少しで染まるので入れすぎないこと。手のひらでコロコロしても色が入っていかないので、伸ばしては折り、伸ばしては折り……を繰り返す。色は他の色の餡に移りやすいので、やはりひと手順ごとに濡れ布巾で手を拭く。色が入った練切餡は時間が立つと少し色あせてくるので、少し濃いくらいかな~というところまで色を入れるとよい。
4.筋をつけたり形を作ったりするヘラ類も、まずは濡れ布巾で表面を薄く湿らせてから練切餡に当てる。
5.練切餡で小豆のこし餡(これが中身になります)を包む際は、利き手の手のひらで包むようにし、もう一方の手でこし餡をおさえつつ均等に包んでいく。食べるときに切った断面で、こし餡がちょうど中央にあり、周りに均等な厚さの練切餡があるのが理想的。

……というようなことなんですけど、う~ん、やっぱり文章だけじゃよくわからないですね。

しかし、ここでもやはり痛感したのは、私自身の「マルチタスクのなさ」です。周囲の方々、特に女性の皆さんはあれこれ楽しいおしゃべりをしながらどんどん作っていくんですけど、私はほぼ無言。いえ、決して愛想がないわけではないのです。話したいけれど、手先に集中すると話せない。カニ肉をつついているときと同じ状態。

特に、和菓子作りの後半、様々な道具を使って形を作ったり線を彫り込んだり、裏漉し器に練切を押し当てて蕊を作ったりしているときはもっと「カニ肉つつき」の状態に。あと、私の場合は老眼で目を凝らさなければならないので、余計無言に拍車がかかります。

これ、普段家で炊事をしているときも同じで、細君や友人と楽しく語らいながら料理を作るというのができない。だいたい主菜や副菜、汁物などを同時進行で作る炊事自体がマルチタスクを要求されるのに、それ以上のタスクを課すのは無理! という感じなのです。それが女性はいとも簡単にできるんですよね。以前で見た、Ken Robinson氏のマルチタスクに関するTED TALKを思い出します。

www.ted.com

(13:21~)
ところで、脳には右脳と左脳に繋がる複数の神経を束ねる軸があります。脳梁と呼ばれる部分で、女性の方が太いんです。昨日のヘレンの話もそうでしたが、女性の方がマルチタスクなのはこのせいかもしれないですね。ここにいる女性方もそうでしょ?


多くの研究結果がありますが、個人的な経験からもわかります。もし妻が家で食事の支度をしていたら(中略)彼女は同時に電話で誰かと話したりします。子供と話したり、天井の色を塗り替えたり、心臓を開けて手術をしたりね。


私が料理をする時はドアを閉め、子供たちはどこかに行き、電話などしません。妻が途中で入って来たらイラっとします 。「テリー、卵を焼こうとしてるんだからちょっと放っておいてくれよ」って言います 。

初めてこれを聴いたときは、「うちとまったく同じだ!」と爆笑しました。

ともあれ、一時間半ほどの練切餡+こし餡との格闘の末、蕗の薹と梅の花が各2つずつ、合計4つが出来上がりました。蕗の薹はちょっとぼやけたフォルムですし、梅の花は花弁が奇数なので筋を入れるのが難しく均等に形が割れていませんが、まあなんとか。

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最後はお茶を飲みながら、自分が作った蕗の薹を試食しました。練切餡とこし餡は先生があらかじめ仕込んでくださっていたものなので、当然とっても美味。素晴らしい体験でした。「とらや」で生和菓子を買うときに入っているような持ち帰り用のパックをもらって詰めると、なんだかそれなりの外観になったではありませんか。この3つは家族へのお土産にしました。

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この教室は「SUSONO」の活動の一環です。スタッフの皆さん、楽しい体験をありがとうございました。器具などの後片付けも手伝わず、申し訳ありません。

susono.life