インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

前車覆而後車戒。

先日、とあるファッションビジネス系の大学院における「華人率」の高さについて書きました。

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それでいろいろと興味を持って、その大学図書館でこの本を借りて読んでみました。


誰がアパレルを殺すのか

さすがファッション系の学部がある大学の図書館、この本は5、6冊も蔵書があり、そのいずれもが貸し出し中でした。「業界」の方々の危機感が伝わってくるようです。

その「危機」をごくごくかいつまんで言うと、現在日本のアパレル業界が陥っている主な袋小路として、①消費者のニーズそっちのけで利益確保に動き、大量生産・大量出店を続けた末に大量在庫を抱えて赤字、②ICTを活用した異業種からの攻勢を手をこまねいて見ていた、というようなことが挙げられるようです。また特にデパートやショッピングセンターなどにおける「ブラック」な労働の実態にも驚きました。

アパレル系のお店って日本のどこに行っても同じようなラインナップですよね。例えば私の実家がある九州の駅ビルと東京の駅ビルの風景はほとんど同じです。これは以前から気になっていました。ほかにも、なぜ同じブランドが少しずつテイストを変えた兄弟ブランドみたいなお店を次々に展開するのかとか、値段の割に品質はさほどよくなく、しかもセール時期になると「あの価格はなんだったの」と思えるくらいの値引きがなされるとか、老舗デパートの店員さんからして時に驚くほど拙い接客(言葉遣いやホスピタリティ、商品知識など)をするのはなぜなのかとか、いろいろな疑問が一気に解けて、ある意味爽快ですらありました。

いや、なるほどこの業界は大変なことになっているのだな……と思ったところで、これはひとりファッション(アパレル)業界だけの問題じゃないとも感じました。私がいま関わっている「語学教育業界」も、似ているではありませんか。

少子高齢化はずいぶん前から分かっていたはずなのに、学校数を増やし続けて定員割れとか、だからといって生涯学習などに対応する施策はまだまだ手つかずとか、インターネットやICTがこれだけ生活を変えつつあるのに、教師の取り組みは遅れがち、あまつさえ拒否反応を示す人もいるとか。他業種の方には信じられない話かもしれないですけど、いまだにメールや携帯電話さえ使えない、使わないという方がいたりするんですよ。

もちろん、そんな状況に危機感を覚えて、なんとか次の時代の教育を模索しようと頑張っている方もいます。先日ご紹介した、日本語教育にICTを活用するためにどんな方法があるのかを検討するセミナーもその一例かと思います。

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世上よく「教師は世間知らず」などと、なかば言いがかりに近い言説が流れて、その都度憤慨する私ではありますが、確かにそういう一面があるのは否めないかもしれません。私はその原因のひとつが「先生」という呼称じゃないかと思っているのですが、この件についてはまた筆を、じゃない、エントリを改めるとして、とにかく成功体験に引きずられること、ないしはいわゆる「コンフォートゾーン(居心地のいい場所・環境)」から一歩も出ようとしないことだけは自らの戒めとしよう……そう思わせてくれた一冊でした。