インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

ファッションビジネスにおける「華人率」

先日、とある大学の修士課程研究発表のお知らせに接しました。

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実はこれ、私が嘱託でお邪魔している学校のものなんですけど、発表者名をながめていて、驚きました。お名前から判断するに、13名いる発表者のうち、日本の方はおひとりだけ。あともうおひとり韓国の方がいて、その他はすべて中国や台湾(あるいは中国語圏)の方です。

この修士課程は「ファッションマネジメント専攻ファッション経営管理コース」といって、「ファッションビジネスの経営者・起業家・プロデューサーを育成するコース」とされています。この学校ひとつだけを抜き出して全体を推し量ることはもちろんできませんが、日本の大学院で、ここまで「華人率」が高い修士課程があるなんて、おもしろいと思いました。そして現在、中国語圏のファッションビジネス(アパレルビジネス)がどれだけ「日の出の勢い」なのかもわかるような気がします。

東京では、例えば表参道のファッションブランド店舗が密集する地帯などを歩いていると(私は所用があって週に2~3回歩いています)、そこここから聞こえてくるの中国語、あるいは韓国語の多さに気づきます。ウィンドウの奥に見えるお客さんも、アジア圏の旅行客が多いようにお見受けします*1

学校でファッションのマネジメントや経営管理を学ばれている方々に中国語圏の方が多いのは、これから先、中国語圏でのそうしたお仕事が激増するだろうという予想が背景にあるのでしょう。いっぽうで日本の方が少ないのは、日本ではこの業界はもう成熟し、飽和しきって発展の余地がないと踏まれているからなのでしょうか。あるいは、日本人学生は日本国内の美術系学校では飽き足らず、ニューヨークとかパリとかロンドンとかミラノなどのファッションスクールに大挙して留学している、ということなのでしょうか。

百貨店などの高級ブランドが販売不振という報道にも接したことがありますが、日本ではファストファッション一強が亢進しすぎて、ファッション業界自体が衰退しているのかもしれません。洋服が売れない、というのは新聞などの報道で何度か見聞したことがありますが、確かに安くて、シンプルで、着心地がよければそれでいいじゃない、というマインド、最近は重視されているような気がします。かくいう私だって、ふだんの服のバリエーションは極めてシンプルというか没個性的だもの。そういえば「ノームコア」という言葉もありましたね。

ちょっと興味が出てきたので、ネットで「ファッション 不振」などのキーワードで検索をかけてみると、「国内のアパレル産業が空洞化している」という主旨の記事がいくつか見つかりました。例えばこちら。

business.nikkeibp.co.jp

そしてこの記事で紹介されていたこちらの本、学校の図書館に入っていたのでこれから読んでみるつもりです。


誰がアパレルを殺すのか

*1:外見だけでは特定できないけれど、ファッションの傾向や立居振舞い、あるいはヘアスタイルやメイクの傾向などで結構的中します。二十年ほど前に比べるとかなり見分けにくくなってはきましたが。