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インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

義父と暮らせば8:家族のためでもある介護サービス

この間、ふと鏡に映った自分の姿を見て、軽いショックを受けました。

「疲れてるなあ、何だか老けたんじゃないかなあ」って。聞けば細君も「あたしも同じ事を考えてた」と言ってました。さらに聞けば細君のとある友人は、かつてはブランドのバッグなど下げた「おしゃれさん」だったのに、最近は親御さんの介護疲れがちょっとした表情や雰囲気に表れていて、「もろもろ分かるわ〜。でも、とても本人には言えない」んだそう。う〜ん、そこはかとなくにじみ出てくるものがあるんでしょうね。私も人に「とても本人には言えないけど、最近ちょっと……」などと思われてるんでしょうか。

いかんいかん、せめて趣味などでリフレッシュしないと。というわけで、今日は能のお稽古に行くんですけど。

お義父さんはまだまだ元気で、特に介護が必要な状態でもないんですけど、最近はちょっとしたことに注意が行かないようになってきた気がします。私はここ五〜六年ほどしか知らないけど、ゴミ出しを忘れるとか(少しでも身体を動かすために、ゴミ出しはお義父さんの役割にしているのです)、水道の蛇口をきちんと閉めなくなるとか、わりあい潔癖できれい好きなお義父さんにしては「以前ならありえない」行動が表れてきました。お風呂に入るのを面倒がったりね。「いよいよ来たか〜」という感じ。

私は週の半分くらいは在宅で仕事をしていますが、家にいるだけでいろいろ気になって落ち着かないというのはあります。階下で何か物音がしたり、電話が鳴っていても誰も出なかったり(時々、目の前の現象に素早く反応できなくなることがあるんですね。あとは、うつらうつらしている時とか)すると、仕事を中断して「大丈夫かな」と考えますから。遠くから豆腐屋さんの「ぱ〜ふ〜」という笛(録音ですが)が聞こえると「ま〜た一丁450円のお高い豆腐を売りつけられやしないかしら」と気が気じゃないですし。

まあ基本、お義父さんの好きなように生活してもらっていいですし、その方が本人もストレスも溜まらなくて健康的だと思うんですけど、火の取り扱いとか、あと段差で転んで骨折とかね、そういうのはやっぱり気になっちゃいますね。それから「洗濯物を取り込みなさい」とか「雨戸を閉めなさい」とか「あいつ(細君のこと)は何時くらいに帰ってくるんだ」とかそういう干渉(というほどでもないけど)も……自分のペースを崩されるということでは軽いストレスになるかな。まあ同居しているんですから当然と言えば当然ですが。

ケアマネさんによれば、さまざなお年寄り向けのサービス、例えば一日外出して食事や入浴やレクリエーションなどをさせてくれるデイサービスみたいなの、もちろん本人のためではあるんですけど、実は家族のためでもあるんだそうです。家族の息抜きのためでもあると。確かに丸一日、あるいはお泊まりでお出かけしてくれたら、その時間はかなり落ち着くかもしれませんね。「軽い臨戦態勢」を一時停止できるから。

「ご家族の皆さんにも、それぞれご自分の人生があるんですから」とケアマネさん。今はまだ大したことないけど、これから認知症が進んで介護が必須の段階になったら、そういうサービスはとても助かるんだろうなと思います。ただ、こないだも見学に行った軽い運動系のサービス、お義父さんは「あんなじいさん・ばあさんばっかりのとこ、俺はやだ」って断っちゃったんですよね。まさか「家にずっと居られると落ち着かないから、たまには外出してね」とも言えないしねえ。

細君は、九州に住んでいる私の妹と仲がよくて、よく電話で長々とお喋りしてますが、妹は介護の仕事をしているんですね。で、上記のような話をしたら「家族だから却って言えない、他人(ケアマネさんや介護士さん)だから言えることもある。他人が言うからお年寄りも聞き入れる、ということもある」と言われたそうです。やはり他人だから時に優しく時に厳しく、時に演技も含めてお年寄りを動かすことができるのだそうで。これが身内だと、なまじ情もあり、恨み辛みもあるから、衝突ばかりが表に立ってしまうと。

妹やケアマネさんによると、お年寄り、特に男性は「俺はそんなのイヤだ」と言いがちだけれど、行ってみると意外に気に入ったりもするそうです。で、先日もケアマネさんがうちに来て、懇切丁寧に様々なサービスへの参加を勧めてくれたんですけど、お義父さんはやっぱり「いや、まだ私はけっこうですから」って全部断っちゃいました。わはは。

デイサービスなどを見学に行っても、うちのお義父さんに限らず「俺にはまだ必要ない」「あんな年寄りばかりの所はイヤだ」って溶け込めないのは男性に多いとケアマネさん。端的に言って、女性に比べてこれまでとは違う環境への適応能力が低い方が多いのだと。う〜ん、海外への留学でも男性は異国に適応できずに痩せる人が多く(私も中国で痩せました)、女性は逆にエンジョイして太っちゃう人が多いと言われるんですが、何か通底するものがあるような気がします。

追記

2014.2.6

Twitterで「レスパイトケア」という言葉を教えていただきました。

『知恵蔵2014』に載ったばかりだそうですから、比較的新しい言葉なのかもしれません。私は初めて知りました。乳幼児や障害児や高齢者などを在宅でケアしている家族を癒やすために、一時的にケアを代替して、リフレッシュを図ってもらうための家族支援サービスを指すそうです。

「『家族がケアを休む必要性』の社会的認識が日本で低いことによる利用抵抗感」が課題だそうです。なるほど、ついつい家族の中で頑張っちゃって、他に助けを求められない、また親を施設に入れることに対する批判的な視線など、日本ならではの問題も孕んでいるんですね。

レスパイトケア とは - コトバンク