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インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

義父と暮らせば5

くらし

さっき、わが家に停電が発生しました。

仕事で使う文書をプリンタで印刷中だったんですが、見事に途中で止まってしまい、復旧がめんどくさいったらありゃしない。あと、きのうIKEAで買ってきた冷凍のシナモンロールをオーブンで焼いていたんですけど、こちらも落ちちゃって、え〜と、あと残り何分焼けばいいかしらと勘で設定し直さなきゃなりません。

停電、数日に一回は必ず発生します。停電というより、単にブレーカーが上がっただけですけど、いきなり家中の家電がぷつんと切れちゃうのって、十数年前に留学していた中国で経験したのが最後です。懐かしいなあ……と感慨に耽っているわけにもいかないので、電気工事屋さんを呼んで見てもらいました。

「今時、本当に珍しいですね」とのお言葉を頂戴した骨董的配電盤を取り替え、外からの引き込み線を単相二線式から三線式に換えてもらい、アンペア数も上げ、家電をつなぐコンセントも分散させたんですけど、それでも落ちる。

原因はよく分からないけど、どうやら、お義父さんがあれこれつけちゃうからみたいです。細君と私は、オーブンで焼くときには電気ストーブを消し、炊飯器のスイッチを入れたらエアコンを止め、電気ストーブだって二面ある放熱板の片方を切るとか、いじましいまでの努力をしているんですが、お義父さんったら、俺が使いたい物を使う。今すぐここで待ったなしに使いたいのね。

特に電気を大量に食ってると私が睨んでいるのは、お義父さんが台所に置いて使っている食器乾燥機です。食洗機じゃなくて、食器乾燥機。これまた年代物の、その用途が本来の目的とは全く違うところで絶賛レビューが殺到して話題になった「これ」と同様の家電です。
※参考:http://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/20131202_625876.html

これ、お義父さんが、自分の使うご飯茶碗と味噌汁の茶碗と、箸と湯飲みと、それに歯磨き用のプラスチックのコップと歯ブラシ、これらの品々を乾燥させるためだけに使っています。細君も私も、食器は洗ったらすぐにふきんで拭いてしまえばいいじゃないと進言するんですけど、これらの品々だけはど〜しても乾燥機を使わないと気が済まないようです。

まあ誰にでもありますね、ど〜してもこうしないと気が済まないっての。う〜ん、このどでかい乾燥機がなくなるとキッチンがすごく使いやすくなるんですけどね。今度こっそり機械内部の配線を切っちゃおうかしら。で「あれ? お義父さん、これ壊れたみたいよ。今日からは私が全部拭いてしまいますから、これは捨てましょう」……って、いかんいかん、何を考えているんだオレは。

お年寄りは、これまで何十年も続けてきた生活習慣を変えることがなかなか難しいんですね。というか、変えるとストレスになる。うちの場合は、何十年もそういう生活習慣でやってきたところに、我々夫婦が同居することでブレーカーが上がる事態も出来したんであって、それに合わせて節電するという「生活習慣の変更」もなかなかできないのです。まあ、もう一段アンペア数を上げてもらうことにしましょう。

毎月お義父さんから水道・電気・ガス、それに有線テレビの代金を請求されますが、前に比べてこんなに高くなった、何に使ってるんだと詰問されます。う〜ん、一人暮らしから三人に増えたんだからこんなもんでしょと説明すると「まあそうかな」と納得しますが、たぶんまた来月もお小言を頂戴するでしょうね。

こないだなんか、市の水道局がごていねいに「毎回の検針よりかなり数値が上がっています」との注意書きを投函してくれちゃいました。水漏れなどにご注意という親切サービスなんですけど、うちの場合はこれもお小言に直結です。あああ。

ところで、前回見学に行った運動のデイサービス、お義父さんは「あんな年寄りばかりのところ、オレはやだ」ってんで、断っちゃいました。あなたも立派な年寄りじゃんと思ったけど、まあそうね、正直、私も見学についていって「あ、こちらの方々ほど身体は弱ってないわ、うちのお義父さん」と思ったもの。お年寄りといっても、本当に色々な状態、色々な段階がグラデーションのように広がっているんですね。