インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

コクリコ坂から

 先日録画しておいたスタジオ・ジブリのアニメーション映画『コクリコ坂から』を見ました。宮崎駿の世界観が色濃くあふれた佳品です*1。昭和三十年代、東京オリンピック開幕前夜の横浜と東京が舞台で、実際の当時の風景に取材したとおぼしき気色がそこここに登場します。港町や古き良き住宅建築への憧憬は『崖の上のポニョ』にも似ていますが、「異形」の存在であるポニョよりも現実感のあふれる設定。
 劇中何度か唐突に音楽が挿入されます。『白い花の咲く頃』も懐かしかった*2けど、宮崎監督の創作らしい『紺色のうねり』という歌がよかったです。

紺色のうねりがのみつくす日が来ても
水平線に君は没するなかれ
われらは 山岳の峰々となり
未来から吹く風に頭をあげよ

紺色のうねりがのみつくす日が来ても
水平線に 君は没するなかれ
透明な宇宙の風と光を受けて
広い世界に正しい時代をつくれ

われらは たゆまなく進みつづけん
未来から吹く風にセイルをあげよ

紺色のうねりがのみつくす日が来ても
水平線に君は没するなかれ

 聞いて、なんだか与謝野晶子の『君死にたまふことなかれ』を連想しちゃいましたけど、なんかこう、バンカラな雰囲気の中に希望と不安が混ざったような歌詞。いまどきこんなのを高歌放吟する若者はいないでしょうけど、不思議に今の時代に合った曲だなとも思った次第。特に、地震と原発事故を経た今の時代に。
 劇中、学校の理事長が経営する新橋の会社へ直訴に赴くシーンがあるんですが、ここに出てくる社長は徳間書店の故・徳間康快氏がモデルなんでしょうね。一度仕事でインタビューにおじゃましたことがあるんですが、アニメに出てくる人物にそっくりの雰囲気でした。もう少し小柄な方だったように記憶していますが。社長室にはトトロや猫バスのでっかいぬいぐるみがあったような……。
 『紺色のうねりが』はiTunes Storeにもありました。
https://itunes.apple.com/jp/album/gan-senouneriga/id445827815?i=445827847&ign-mpt=uo%3D4
 こういう映画を見ると、外国航路の船員になりたかったな〜と思います。そんなことを考えるときの自分はちょっと弱っているということを経験的に知っています。いかんいかん。★★★★☆。

*1:監督は宮崎吾郎氏だと後から知りました。でもまあこれは宮崎駿氏の映画ですね。

*2:母親が好きでよく聞いてました。