読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

こんにゃんでいーぶんか

ほん

 年末にコンビニで買い物をした時に何となく手にとって買った『クーリエ・ジャポン』。そこに掲載されていた小道迷子氏のマンガ『日本猫ワタナベのニャンでも比較文化論』でこの単行本を知りました。
こんにゃんでい~ぶんか
 小道氏は台湾に留学したこともあって、『台湾素食―たいわんすーしー。目からウロコの健康食』と『チャンさん家の台湾ベジごはん』という料理マンガ本を出されていて、どちらも私の愛蔵版です。よくこの本を見て精進料理を作っています。台湾の精進料理“素食”って、ホントに美味しいんですよね。“素食”のお弁当やさんなんかもあちこちにあって。日本にもああいうお店があるといいんだけどね。
 で、この『こんにゃんでもいーぶんか』は日本人と中国人の習慣や考え方の違いを二人(二匹?)のサラリーマン猫に託して紹介したマンガです。中国人と仕事をしたことがある人なら誰でも知ってるような初歩的な内容ですけど、人間関係のノウハウ本としてより、私は小道氏の描く猫そのものが好きで楽しんで読みました。氏のマンガはものを食べてるときとか、ご飯をよそってるときとか、何かを炒めてるときとか、こと食べ物に関わる動作の描き方が絶妙なんですよね。食べることが心の底から大好きな人じゃないと、こういう絵は描けません。
 いろんな「あるある」的エピソードが満載ですが、例えば「中国人は立ち食いができない」という話、先日ブログに書いたのでなるほどと思いました。私は「食器を使って食べる場合、立ち食いができない」と理解していたのですが、この本にはさらに“吃飯皇帝大(ごはんを食べてる時は皇帝よりも偉い)”という、食事に命かけてる中国人的発想が紹介されています。確かにね。どんなに仕事のタイムリミットが迫っていても、日本人が簡単に弁当など取って徹夜で仕上げようとするところを中国人は「それはそれ、これはこれ」できちんとした食事の時間をしっかりキープしようとするもんね。
 弁当と言えば、日本側が気を遣って上等な松花堂弁当なんかを仕出し屋から取ったりするんだけど、中国側はそんなに喜ばないという、これもよく「あるある」なネタもあります。あの人たちはなにより温かい食事なんだよね。以前CCC認証の仕事で中国人の検査官一行と地方を回ったことがありますが、連日の強行軍で三食お弁当という日々が続き、みなさんかなりまいっていました。で、ある駅前でごくごく普通の中華料理店に入り、ごくごく普通の、そして中国人的味覚からするとかなり違和感のあるであろう熱いラーメンをすすったときの彼らの表情は忘れられません。「あああっっっっ……♥」って(^^)。もう、ほとんど恍惚というか、愉悦の表情と声がダダ漏れでしたな。
 他にも名高い「割り勘問題」や「ごめんなさいと言わない問題」とか、最強最大の「メンツ問題」など基本ラインはおおむね入っています。
 ただし……私自身の考えは「郷に入っては郷に従え」ですから、中国人も日本に来て仕事をする以上は日本人の習慣や考え方を尊重する努力をしてほしいということですね。そのかわり我々が中国に行ったら、そちらの考え方や習慣を尊重するよう努力しますから。この点、この本に登場する日本猫「ワタナベ」くんは中国猫「リュウ」くんに押し切られることがやや多すぎるかな。まあ、そういう自分も押し切られてばっかりですが。