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インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

HSKの改変

しごと

  中国語の検定試験にHSK(漢語水平考試)というのがあります。これは英語のTOEFL同様、中国の大学へ留学する時の目安となる試験ですが、それ以外に中国政府公認の検定試験ということで、中国語の語学力をはかる目安として、中検とならぶ二大検定試験になっています。
  このHSKが来春から大きく様変わりするようです。まだ大綱も発表されていないようなので詳細は不明ですが、某所から入手した資料によると、これまでの1級〜11級*1が1級〜6級に再編されるようです。しかも試験方法が変わって、かなり易しくなるもよう。サンプル問題をざっと見ただけですが、漢字文化圏以外の受験者、つまり欧米の受験者を念頭に置いて設計されているような印象を持ちました。HSKを欧米に広めようという意図があるのかもしれませんね。
  しかし……受験者数でいえば日本や韓国が欧米に比べて桁違いに多いんじゃないかと思いますが、このマーケットはもう頭打ちと踏んだのでしょうか。本当に欧米志向を強く打ち出したのだとすれば、非漢字文化圏での受験者の伸びが最近際だっている、もしくはこれから期待できる――中国の国際的プレゼンスが高まるにつれて――と踏んだのかもしれません。
  中国はここ数年、文化輸出をかなり積極的に推し進めている感があります。「孔子学院」を世界各地に作り、中国政府お墨付きの中国語教育を普及させ、お墨付きの教員を養成し、もちろん中国への留学生という「環流」も見込んでいます。上記の「文化センター」も、ここ数年で東京だけでなく世界各地に設立が相次いでいます。
  もちろん、こうした取り組みはどの国だってやっています。例えばフランスだったら東京にも日仏学院があり、フランス文化センターがありますよね。英国だってイタリアだってドイツだって同じような組織があります。中国の動きはむしろ遅きに失した感もあって、だからこそここ数年の急展開になっているんでしょうけど、どこかきな臭さを感じるのは……私が同業者だからですね、はい(^^;)。
  これまた根拠のない邪推ですけど、HSKが突如改変となった裏には長年この試験を運営してきた北京言語文化大学と、孔子学院を展開する“漢辦”、つまり対外漢語教学発展中心との主導権争いがあるのかもしれません。
  改変、改革は結構ですけど、あまりに大規模というか大胆な変化だと、語学資格としてのHSKそのものの権威性も一時揺らぐんじゃないかと思います。ともあれ、受験者そっちのけの権力闘争でないことを祈りたいと思います。

*1:英語などと異なり、数が上がるほど高い能力を示します。