インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

サイドウェイズ

  本当に久方ぶりに映画館で映画を見ました。実はうちから五分ほどの所にシネコンがあるのです。が、行ったのは今日が初めて。
  この映画は大好きな『サイドウェイ』の日本リメイク版。はっきり言ってかなり心配だったのですが、やっぱり立場上見ておかないと(ナニサマですか、と細君に一蹴されました)……と出かけました。
http://movies.foxjapan.com/sideways_jpn/
(ネタバレがあります)

  う〜ん、やっぱりこうなってしまいましたか。名作の誉れ高いオリジナルに比べると、その「だしがら」ぶりには目も当てられません。
  様々なエピソード、例えば試飲のカウンターでスピッティングボウル(試飲したワインを吐き出す桶)をがぶ飲みしようとするとか、「お遊び」の結果鼻に怪我したことをカムフラージュしようと車を樹にぶつけるとか……がどれも不発でした。置き忘れた財布を取りに戻った「遊び相手」宅で危機一髪というくだりはボンデージ・ファッション+SMを絡めてありましたけど、安手のお笑いバラエティ番組以下で場内には失笑が起きていました。
  だいたい、俳優の演技がわざとらしすぎるんです。私が日本人だから日本語のセリフにリアリティを感じないのかもしれませんが、この映画は現地のアメリカ人俳優もなぜか生硬な演技をしています。
  また、それ以前に主要キャスト四人の人物像に全然リアリティがありません。かなりイヤミで意地悪な言い方になりますが、「ワイナリーにつとめていてアメリカのワインの資格まで持っている」という設定の鈴木京香がワイングラスを拭くシーンだけで、「ああ、これは作り物だな」とばれちゃうんですよ。ワイン好きな人に、あんな拭き方をする人はいません(断言)。そういうところにこだわるとカッコいいし、奥行きが出ると思うんですけど。ワインに関してはプロの方々がアドバイザーとして入っているはずなのに、なぜ注意してあげなかったんでしょう。
  さらに菊池凛子が演じた「生まれも育ちもアメリカ」のミナ・パーカーには無理がありすぎます。どう贔屓目に見ても、第二言語である日本語の拙いアメリカ人ではなく、母語である日本語が拙い日本人にしか見えません。
  総じて、なぜ日本人俳優をつかって、ナパ・ヴァレーでリメイクしなければならかったのか、ちっとも理解できない作品になってしまっています。
  ラスト近くで、小日向文世演じる主人公が語るセリフはけっこう心にしみ入るのですが、それだけではいかんともしがたいです。★☆☆☆☆