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インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

日食

しごと

  留学生活も四週間目に入って、体調を崩す生徒が多くなってきました。
  今日も今日とて、三人の学生を中日友好病院へ連れて行きました。“国際医療中心”という外国人用の窓口に行くので比較的スムーズに診察を受けられますが、「キャッシュレスサービス」を受けるために保険会社から送られているはずのファクスが見つからなかったり、書類の書き方を誰も理解していなかったり、受付→ナースステーション→診察→血液検査→心電図→レントゲン→処方→薬局とあちこち動き回らなきゃならなかったり、検査を受ける前や薬をもらう前にはその都度会計窓口に行って保険会社の担保がある旨確認してもらったり……と、やはりそれなりの手間はかかります。
  この病院には日本語を話せる医師や看護師もいますが、話せる人に当たるかどうかは「時の運」。やはり通訳のできる人を連れて行く方が安心でしょう。
  午前中、生徒を診察しながら医師が私に話しかけてきました。
  「外が暗くなってきたわね」
  「ホントですね。雨でも降るのかな」
  「何言ってるの。日食でしょ」
  ああああ、そうでした。忙しさにかまけてすっかり忘れていました。
  病院の外では大勢の人が空に携帯電話のカメラを向けています。私も雲の隙間からほんの少しだけ部分的に欠けた太陽を見ることができました。
  最初の診察が終わって血液検査やレントゲンなのですが、どの部屋にも看護師がいません。困ったなと思ってあちこち探してみると……みなさんホールの大画面テレビに集まって、日食のテレビ中継に見入っていました。
  お願いしますお願いしますってんで検査室に戻ってもらって、ようやく検査結果をもらって診察室に戻ってみると、今度は医師もテレビを見に行っちゃってました。はあああ、脱力。
  今日の生徒はみんな風邪などの軽い症状。薬を出してもらってひと安心しました。
  でも、日食の日に急患で担ぎ込まれるのはごめんです。