所用で渋谷に行き、JRから京王井の頭線に乗り換えようと歩いていたら、連絡通路の壁面いっぱいに岡本太郎の『明日の神話』という壁画が設置されていました。ああ、ニュースでやっていたのはこれですね。
渋谷への招致活動をされていた方には申し訳ないんですけど、見る前から感じていた不安は的中しました。この絵は、まったくもって渋谷駅という空間に合っていません。
http://www.salf.or.jp/tarotoshibuya/
大きすぎるんですね。右側など、マークシティに上がるエスカレーターのすぐ側まで来ていて、手を触れられないようにアクリル板で覆っているのも見苦しい。
それに何より、あんなおどろおどろしい絵を公共の場所に半永久展示するという感覚が信じられません。通勤で目にするたび、気持ちが萎えること必定です。
だいたいですね、岡本太郎の作品自体が、長い時を越えて鑑賞されるに足る芸術作品ではないんです。もちろん彼が活躍した当時なら、美術史的にも意味があったと思います。万博の『太陽の塔』なども、当時においてはセンセーショナルでインパクトのある芸術であったことは否定しません*1。
でも、現代の私達から見れば、すでに美術史の一局面にしか過ぎませんし、もっと正直に言っちゃうと、すでに少々古くさいアートなんですよ、この手の「爆発だ、反逆だ、パッションだ、社会へのアンチテーゼだ、見るものを揺さぶり不快にさえさせてこそナンボだ」的抽象絵画は。
私は、現代の大都市にあっては、公共の空間というものはできるだけシンプルに作られるべきだと思います*2。