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インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

ボランティア翻訳

しごと

  大学の先生から、ボランティアで翻訳をしてくれないかと相談されました。
  日本のとあるNGOが中国と共同で行ったプロジェクトの報告集のようです。
  「勉強がてら、生徒さんにお願いできないかと……」
  う〜ん、うちの生徒は毎日大量の課題や宿題に追われていて、そのうえアルバイトにも追われているのでたぶん難しいと思います。それに生徒の日本語力では、ご期待に添えるような訳文は出来上がってこないかと。きょうびの若者ときたら、母語の能力からして怪しいんですから、ええ。
  ……と不本意にも生徒を貶めてしまいましたが、もちろん本心ではありません。
  翻訳のような高度な作業を完全なボランティアでまかなうのは無理があると思います。NGOによる、そのプロジェクトの中身については何の異論もありません。予算が厳しいことも理解できます。でも、あるプロジェクトを実行する際に発生する諸経費の中で、なぜ翻訳はボランティアに頼ろうとするのか、そこが分かりません。
  以前にも同じような依頼を受けたことがあります。そのときも断ろうとしたのですが、こう返されました。
  「そんな、プロレベルの翻訳でなくてもいいんです」
  そのセリフ、少しでも職業として翻訳に携わったことがある人の前では、地雷を踏むに等しい発言ですよ。