インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

返答しろと言われて

  社会保険庁から緑の封筒が届きました。「ねんきん特別便」です。
  年金の加入記録が「年金記録のお知らせ」という一覧になっていて、この記録に「もれ」や「間違い」があるかどうか、万一あるなら、どう「追加」や「訂正」をすべきか返答を求められます。
  いや、これは困惑している人が多いでしょうね。表の見方がわかりにくい上に、その見方や返答の仕方をレクチャーするパンフレットが輪をかけてわかりにくいです。
  私は昔、社会保険関係の出版社につとめていて、まさにこういったパンフレットをお役所から受注して制作する仕事をしていました。その頃の反省も含めてなのですが、こんな文字ばかりがギッシリ詰まったパンフレットでは、読むのにかなりの気力が必要です*1。返答しろと言われても、よく分からないのに返答して、これで記録は確定! となっちゃって、万一自分に不利益があったらどうしよう、と二の足を踏む人が多いのではないでしょうか。
  私自身、専門用語などはずいぶん忘れてしまっているものが多く、インターネットで改めて勉強しなおしながら記録とパンフレットを読み解きました。読み解こうと思えばそれほど難しくありませんが。
  私は過去に国民年金と厚生年金、それに厚生年金基金に加入していますが、それぞれの年金保険料納付済み期間に間違いはありませんでした。収入が低くて免除申請をしていた部分も含めて、すべて加入期間に入っています。
  ただし、国民年金の加入期間に一カ所だけ、疑問がありました。
  私は中国と台湾にそれぞれ数年ほど住んでいた期間があって、その期間は住民票を抜いて「海外転居」となっていました。この期間は国民年金に加入しておらず、従って保険料も払っていません*2が、「カラ期間」といって老齢基礎年金の「合算対象期間」には入ります。
  この「合算対象期間」は重要です。ご存じの通り、老齢基礎年金を受け取るためには、25年以上という加入期間を満たさなければなりません。「カラ期間」は保険料を払っていないため、受給額には反映されませんが、少なくとも「合算対象」になるため、25年という条件をより満たしやすくなります。
  私に届いた「ねんきん特別便」では、台湾に住んでいた時期は「合算対象」として国民年金の加入月数に入っていますが、中国に住んでいた時期は入っていません。おや、この部分は「合算対象」にならないのかしらんと思って、「ねんきん特別便 専用ダイヤル」に電話しました。
  で、いろいろやりとりがありましたが、結論。
  「分からないので社会保険事務所に聞いてください」
  「そちらは社会保険庁じゃないのですか」
  「……ねんきん特別便の専用ダイヤルです」
  「……」
  よく分かりませんが、海外の事例が絡むと、難しいようですね。ま、レアケースですからね。
  仕方がないので、最寄りの社会保険事務所に電話しました。
  またいろいろやりとりがありましたが、結論。
  「『カラ期間』については、将来年金を受給するようになった時に、戸籍の付票などで証明すればいいです」
  「じゃあこの『年金記録のお知らせ』には『問題なし』と返答すればよいと?」
  「そうですね」
  ううむ、よく分かりません。「ねんきん特別便」は自分の年金記録が正しいかどうかを確認させるために送っているのではないんですか。で、二度あった海外在住時のうち、ひとつは「加入」になっていて、もうひとつは「未加入」になっているという矛盾があるのに、「問題なし」と返答できるわけがありません。
  さらに突っ込んで聞いてみると、「海外転居」の手続きをする自治体によって、「カラ期間」のまま国民年金に加入していると処理するところと、完全に脱退と処理するところがあるのだそうです。中国に行く前は杉並区に、台湾へ行く前は新宿区に住んでいましたから、杉並区は「完全に脱退」と処理する自治体だということになりますね。本当かなあ。
  海外に移住していて、年金保険料を払っていなかった期間については、もちろん将来の年金額に反映されなくてかまいません(当然です)が、せめて「カラ期間」として「合算対象期間」には含めてほしいです。「将来年金を受給するようなった時、きちんと合算しますから」と言われてもなんだか信用できないので、回答票にはその旨記入して返送しようと思います。

*1:分かりやすいパンフレットを作ってプレゼンしても、必ず「これも盛り込め、あれも盛り込め」と言われて「文字ギッシリ」になっちゃいます。お役人は「聞いてないよ」と言われるのが何よりこわいので、とにかくありとあらゆる情報を全て盛り込もうとしますから。

*2:申請して、支払うこともできます。