インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

出櫃

  ここだけの話、バラエティの字幕を翻訳していると、正直「こんなの訳して日本の視聴者に届けて、意味があるのかなあ」と思ってしまうことがある。芸能界の内輪受け話とか、以前のゴシップを知らないと何のことだかさっぱり分からない会話が多いのだ。もちろん字幕にそうした訳注を盛り込むことはできない。
  それでもまあ、彼の地の芸能人がおしゃべりに興じる、その雰囲気だけでも伝わればファンは喜ぶはずと思って、なるべくつじつまが合うように訳す。そのため、時には創作に近いセリフになってしまうこともある。とはいえ、画面にはご本人の表情や動作があるから、あまりかけ離れた創作はできない。あくまでも原発言にできるだけ沿うように、でも同じ文化を共有していない日本人にも分かるように。汗がどっと出る。
  “出櫃”もそうした内輪受け話で出てきた言葉。“櫃”は箪笥とか戸棚とか、あるいは米「櫃」などの箱状のもの。芸能人の同性愛疑惑うんぬんという話の脈絡なのだが、「箱を出る」って何?
  調べてみると、これはどうやら「カミングアウト」らしい。

這個字的英文是come out,那為什麼叫出”櫃”呢?因為英文裡的closet 原意是指衣櫃,但常被引申為「不可告人的」,英文中把身為同性戀者但不願意向大家公開同性戀身份的戀人稱為 closet boyfriend,中文就把come out 這兩個字翻成「出櫃」了。

  英語の“closet”には「人に言えない」という隠れた意味があって、そこから出る、しまい込んでいたものを出すというので“出櫃”と。なるほど。