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インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

呼吸する音楽

考える人 2007年 08月号 [雑誌]
  『考える人』の夏号に載っている、アンナー・ビルスマへのロング・インタビューがすばらしい。ビルスマは弦楽器の弓使いを「呼吸」だと言う。アップボウ(弓先→弓元)で吸い、ダウンボウ(弓元→弓先)で吐くのだそうだ。演奏者としての呼吸もあるのだろうけれど、音楽そのものが呼吸のように作られていて、演奏者はそれを表現するべきだと言うのだ。

そう考えると、オーボエなんて実に素晴らしい楽器なのに、息を吐くことしかできない。可哀想ですね(笑)。鍵盤楽器も同じ。だからもしピアノを弾きながら呼吸を表現するとしたら、演奏者が想像力で補うしかない。それができない演奏は退屈なものになります。

  へええ。そして十九世紀の作曲家の多くがピアニストだったことを挙げて……

ピアノで作曲するわけですから、ピアノで弾いたことを弦楽器が翻訳して演奏することになる。そうすると、音楽に不自然なところが出てくるようになるんです。

  作曲と演奏の関係をこんなふうに説くなんて、とても新鮮。ほかにも、現代の演奏家がバッハやモーツァルトを演奏することの意味など、含蓄に富んだ発言がいっぱい。