インタプリタかなくぎ流

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やっぱり美味しいものが好き

やっぱり美味しいものが好き
  弁護士の職をなげうって『ヴォーグ』誌のフード・ライターに転身したという無類の食いしん坊、ジェフリー・スタインガーデン氏のエッセイ。
  いやもう次から次に美味しそうなものが出てきて、心拍数があがりお腹が減る。この人のすごいところは、単に美食巡りをするだけではなく、自分でも手を動かそうとすることだ。究極のレシピを決定するために繰り返しポテトグラタンを焼き、ロブスターの人道的な殺し方にあれこれ悩む。十四台のエスプレッソマシンを自宅のリビングに集めて抽出成果を比較するに至ってはちょっとやり過ぎなようだけれど。『ヴォーグ』誌の潤沢な資金提供があってこそなのだろう。氏が普段使っているマシンが自分のと同じだと知ってちょっぴりうれしかった。
  氏は日本食びいきのようで、日本人が喜びそうな話題もたくさん入っている。まあそれだからこそ翻訳されたのかもしれない。この本を読んでいる最中に、渋谷のパン屋では「ヴァローナのチョコレート」を挟んだ「バケット」に出会い、新宿のレストランでは「ブーダンノワール」に出会った。いずれもこの本で微に入り細に入り語り尽くされているアイテムだ。シンクロしているなあ。
  この本で一番興味をそそられたのは、タイ料理とメキシカンタコス。いつかはタイやメキシコに行って本物を食べてみたい。