インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

翻訳家の仕事

翻訳家の仕事
  三十七人の翻訳者が、自分の仕事や翻訳への悲喜こもごもを語るエッセイ集。ほとんどが欧米言語の翻訳者、しかも文芸翻訳がメインの方々ばかりなので、実務的なヒントやノウハウを期待などというセコい考えで読んではいけない。
  ほとんどの方が行間に、あるいは言外に「翻訳ほど割に合わない仕事はない」と愚痴をこぼしつつ、やはりほとんどの方が誇らしげに、あるいはちょいと傍目には暑苦しいほどに「翻訳ほど面白い仕事はない」とおっしゃっている。
  一人あたり五〜六ページだから、もうちょっとそこんとこを詳しく……というところで紙幅が尽きてしまう方が何人もいて、少々歯がゆい思い。当代の翻訳者名鑑としてながめ、興味がわいたら実際に訳書を手に取ってみてね、という想定かな。あと、私の好きな翻訳者のあの方この方が入ってなくて、一人でこっそり憤慨していたりして。