インタプリタかなくぎ流

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ホラー映画より怖い

  昨日のNHK『プラネットアース』はすごかった。
  昆虫ごとに異なる胞子が寄生し、やがて昆虫を栄養源として成長する様々な冬夏虫草冬虫夏草。ターンテーブルのように画面がパンしながら、次々と見るもおぞましい、いや、美しい冬夏虫草冬虫夏草の数々を見せられるたび、昆虫が大の苦手な私は手で顔を覆うのだが、指の隙間からついつい見てしまう。
  食虫植物のウツボカズラ。虫が消化液でじわじわ溶かされていく過程もさることながら、ウツボカズラの内部に住み着き、捕らわれの身となった昆虫を食べて暮らす蜘蛛の生態には悲鳴を上げっぱなし。
  そして近年明らかにされつつあるという、チンパンジーの群れの縄張り争いと、その結果としての共食い。熱帯雨林に暮らす、奇妙奇天烈な求愛ダンスを踊る極彩色の鳥たち。高木の枝先の、わずかな隙間にたまった枯れ葉を土壌としてひっそりと花を咲かせるラン。
  この番組、超弩級のえげつない画面にもあくまでNHK風の落ち着き払ったナレーションが端正にかぶる、そこがまたいいんだなあ。「衝撃のシーンまであと10秒!」みたいな字幕も一切出ないし。
  やはり冬夏虫草冬虫夏草の部分だけでも録画すればよかった。それくらいあの菌糸は怖く、美しかった。