インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

ナイス・エイジ

  ナイロン100℃の公演。例によって長大な上演時間だが、シリアスとギャグが間断なく織り交ぜられ、時間の長さを感じさせないおもしろさ。
  舞台装置にも音楽にも映像にも手がかかっていて、しかもそれがすごく誠実な「手作り感覚」……と言っちゃうとチープな印象だから、すごく誠実な「職人かたぎ」の作り込みよう。俳優はもちろん、スタッフが本当に楽しんで作ってるのがよく伝わってくる。特に、さりげないけれど音響へのこだわり、職人ぶりは半端ではない。ナイロン100℃の芝居は、これだけメジャーになって劇場が大きくなっても、どこか小劇場的な芝居の良さを残しているような気がする。
  後ろの席に座った人が、上演中にごくごく小さな声で隣の人に話しかけていた。静かなシーンではさすがに気になるので注意しようかなと思ったが、話の内容からあっ、と気がついてやめる。
  話しかけられていた人は目が見えないのだ。だからセリフのないシーンでは、隣の人が舞台上の様子を説明していたのだろう。恥ずかしい話だが、そう分かると小さな声が気にならなくなる。さっきまで、いったい自分は何に神経を尖らせていたのだろうか。