インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

興味深い仕事

  泊まっているホテルは昨日と同じだが、今日は隣の県までバスで移動。この会社の別の工場を視察して審査。かなりの部分が自動化された巨大な工場は、思わず通訳の仕事を忘れて見入ってしまうほど面白い。溶接やプレスや部品運びなんかをやっている無人ロボット*1など、動きがえらくカワイイ。
  品質管理も、そこまでやるかというくらい徹底していて、日本人の図抜けた几帳面さにちょっと息苦しさを覚えるくらい。そんな工場を中国側が審査してどうこうだなんて、おこがましいにも程がある、などとつい不埒なことを思ってしまいそうになるが、もちろんそれは間違っている。
  日本の製造業は、独自の体系で独自の品質管理技術を進化させてきたが、それはかなりの部分を作業員の勤勉さ、几帳面さといった日本人独特の資質に負っている。一方中国では作業員の資質に期待できないぶん、逆に国際標準を一足飛びに導入し、より厳しい管理を行っている場合がある*2
  何もグローバル・スタンダードを金科玉条にしなくていいし、日本が独自に蓄積した経験には価値があると思うけれど、慢心していちゃいけないということだ。日本人の勤勉で几帳面な資質が不変とは断言できないし、中国にだって優秀な人たちは育ってきている。中国は国際標準に学んで、これからこういう品質管理を要求しますよという内容は、じゅうぶん傾聴に値すると思った。

*1:というのも語の矛盾か。

*2:まだ仏作って魂入れずの側面もあるが。