インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

書く女

  二兎社の新作、今回は樋口一葉の日記を題材にした二幕もの。
【ネタバレがあります】

  平日のマチネだからか、満員の場内はかなり年齢層が高かった。本当は九日の「体育の日」にチケットを取ってあったのだが、出張で行けなくなったため派遣先の先生に差し上げた。そしたらその先生の話を聞きつけて別の先生(この方は俳優さんの関係者)が「一枚余ってしまったの〜。銭君、行かない?」と譲ってくださった。たぶん、見られなかった私のために特別に用意してくださったのだろうな。かたじけない。真是“票”在世上轉,前天沒有今天有。
  長い上演時間の割にはけっこう淡々と話が進み、大きな動きやギャグもいつもより少なめだったので、全体的に地味な印象のお芝居。主演の寺島しのぶはあまり声が通らず、筒井道隆はかなりストイックな演技だったが、いずれも「新劇新劇」してなくてよかった。逆に他の役者さんの演技が少々古くさく思えたくらい。
  樋口一葉はかなりこまごまと、それも恋の告白から人の悪口までいろいろ日記に書きつけていたらしい。その日記から採集した、彼女を取り巻く人々の言動や生態が舞台で重層的に演じられる。最初は自分を卑下していかにも自信なさげだったのが、作品を次々と世に問うていく中で次第に貫禄をつけていく一葉を、寺島しのぶという人はきっちり演じていた。でも貫禄がついたとはいえ、一葉は二十四歳で没したのだそうで。夭逝だなあ。