インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

サイドウェイ

  中年男性ふたりが、カリフォルニアのワイナリーを巡りながらゴルフ三昧の旅に出るという、ロードムービー。……などと書けば陳腐の極みなのだが、いや、いい映画だった。
http://www.foxjapan.com/movies/sideways/index.html
【ネタバレがあります】

  離婚の傷が癒えてなくて、ワインおたくで、タバコ嫌いで、基本的には善良で、仕事に今ひとつ乗り切れないでいる主人公・マイルス。かたや結婚を目前に控えているのに旅先で女性を口説きまくるプレイボーイの親友・ジャック。ふたりのコントラストがおかしくて、笑った笑った。
  とはいえ、ドタバタコメディではなく、これは上質のヒューマン・ドラマ。基本的には「ありえない!」エピソードが連続するのだけれど、これぞ脚本の妙。映画ならではのお楽しみだ。それにアメリカの平凡な田舎の風景と、平凡な人たちの日常が、手に取ることのできるような臨場感で迫ってくる。このかわいらしいリアリティは何なのだろう。カリフォルニアの田舎なんて行ったこともなければ、現地の人たちに接したこともないのにね。
  かつては周りがみんなバカに見えた。けれど年とともにそうした過剰な自尊心は潮が引くように影を潜めて……という、「ありがち」なステージを生きている中年男性だったら、おおむね共感を持って迎えられるであろう、小憎たらしい映画。★★★★★。