インタプリタかなくぎ流

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なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか

なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか
  宇宙人にさらわれたと訴える人々(アブダクティーと呼ぶ)を新聞広告で募集し、多くの体験談をもとにアブダクティーの心理に迫った本。新宿の地下街で、待ち合わせの時間つぶしにと適当に選んで買った本なのだが、これが思わぬ掘り出し物だった。ものすごくおもしろい。

  UFOやエイリアンは実在するのか? 本当に誘拐されたのか? 複数のアブダクティーの体験談はなぜ似通っているのか? この本はノンフィクションだが、一種の謎解き的な要素もあるので「ネタバレ」は慎もうと思う。
  この本には立花隆の『臨死体験』や、スティーヴン・ウェッブの『広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由』とも共通のテーマがある。しかも著者はあの神がかり的な国・アメリカでの反響を考慮して控えめに書いているが、宗教とは何かという大テーマにもつながって、とてもスリリング。
  被験者となったアブダクティーたちの証言を、単に「トンデモ」な人々の世迷い言、あるいは疑似科学と拙速に結論づけず、科学者としてきわめて冷静に分析し、探求していく姿勢もかっこいい。それにそこここに配されたユーモアもなかなか。この本の献辞はこうだ。

夫のニールズ・ケテルホーン(わたしを誘拐したエイリアン)と、ふたりの娘、キャロラインとエリノアへ

  そうか、結婚も脳が生み出すアブダクションなのか。あいたたた。