インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

アジアエコー

  台湾への行き帰り、日本アジア航空の機内でCFのメイキング映像が流れていた。
  オセロの二人が出演している「♪台湾台湾行きたいわ〜ん、JAAで行きたいわん」というアレだ。以前の志村けん金城武のバージョンもよかったけれど、今回も台湾の魅力たっぷりで楽しい作り。CFを見ていると、台湾ならではのあれやこれやをまだまだ存分に体験していないなあと思う。一度仕事ではなく旅行で、それも二〜三週間かけて台湾全土を歩き回りたいものだ。
  旅のプランはもう念頭にあって、「離島と灯台を巡る旅」。今回の出張で思いがけず琉球嶼(小琉球)に行くことができてうれしかったが、台湾にはほかにも澎湖諸島をはじめ、蘭嶼・緑島・金門・馬祖などなど魅力的な島々がたくさんある。
  いつだったか、《自由時報》の文芸欄で馬祖列島の北竿島が紹介されていた。海からの強風に耐えるためだろうか、石積みの壁と瓦屋根、その瓦の上にも石をずらっと並べた家並みが続く独特の風景。いやあ、あそこにもぜひ一度行ってみたい。
  離島というのは、住んでいる方にとってはライフラインの確保や医療などで不便も多い場所なのだろうけれど、旅行者にとってはなにかこう秘密が隠されているような、面倒くさい日常から逃れる隠れ家のような、ここなら誰の悪口を叫んでも一切聞こえまいみたいな魅力があるんだよなあ。
  灯台の方はというと、これもまあ昔から岬の突端にぽつんと立つ灯台の風情が好きなのだけれど、それともう一つ、ぜひとも行ってみたい台湾の灯台がひとつあるのだ。それは周華健が歌う“有故事的人”のMVに登場するあの灯台。台湾の灯台だという保証はどこにもないのだが*1、まあたぶん間違いないだろうと。あの灯台の場所に行って、“有故事的人”を高歌放吟するのが夢。はた迷惑な夢だ*2
  日本アジア航空の機内では、機内誌の『アジアエコー(亞洲回響)』も楽しんだ。冒頭の随筆「さりげなくも強い正義」を読んで、不覚にも目頭を熱くする。作家の角田光代氏が台湾旅行をした際に、現地の若者が親切にしてくれたという、まあ紀行エッセイにはよくあるタイプのお話。だが角田氏は台湾の若者の親切を「あれは親切ではなく正義だ」と書く。そして「この国の未来はなんと明るいのだろう」とも。
  ふつう「強い正義」だ「この国の未来」だなどという言葉が続けばかなり身構えてしまう私なのだが、この角田氏のエッセイはそんな生硬さをみじんも感じさせなかった。とてもいい文章。
  文中に紹介されている親切な若者は台中の東海大学の学生さんたちだ。ちょうど今回の出張で東海大学のそばを通り、「へえ、日本にも同じ名前の大学があるけどね」と思ったところだったので、より印象深かった。

*1:googleなどでずいぶん検索して探しているのだが、いっかな確たる情報がつかめない。

*2:実はこうした夢にぴったりの『[http://www.morningstar.com.tw/bookcomment-2.aspx?BOKNO=0113008:title=台灣離島與燈塔――充滿熱帶島嶼風情的旅遊指南]』(晨星出版)という本が出版されていて、まだ読んでないのだけれどとりあえずは写真だけ見て楽しんでいる。