インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

りえちゃんとマーおじさん

りえちゃんとマーおじさん
  派遣の仕事で通っている学校の先生が貸してくださった。童話の体裁をとった「お料理ファンタジー」だそうだ。著者の南條竹則という人は『中華満喫』でその豊富な蘊蓄を披露されている学者さんだが、本来の専門は英国文学とのこと。へええ、“多才多藝”な方だなあ。
  “千紫万紅”・“百鳥朝陽”・“宝塔暁風”・“蓬莱晩霞”・“壺中乾坤”……と、漢字四文字のオンパレードで次々に出てくる料理はどれも想像力の桁がはずれたような中華ワールド。ふと昔々に読んだ小林恭二の『ゼウスガーデン衰亡史』を思い出した。
  生きたガチョウの水かきを焼いて、その水かきだけを切り落として煮込む“焼鵞掌”とか、若い猿の頭を輪切りにして脳に熱々のスープをかけ、半生になったところを食べる“猴脳羹”とか、超弩級のゲテモノ料理も登場する。ホントにそんな料理あるんかいな、と思わせるが、これは悪役に語らせるネガティブな料理の数々。こういうのを通して、美食を追い求めることの功罪とか、そもそも人間がほかの命を食らって生きている存在だとか、そういう教訓めいたところに話が行きそう……なんだけど、ほどほどにおさえてある。
  読了するや今すぐにでも香港あたりに飛んで豪勢な料理を食べたくなってくるが、この本の中で一番おいしそうだったのは最初のほうに出てくるチャーハンと「タウナギそば」だ。ああ、台南の“鱔魚麵”(タウナギあんかけそば)が食べたい。いますぐ、ここで、待ったなしで、ムハムハと(東海林さだお風)。