インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

お堅い格好

  企業での中国語研修のために、このところ毎日派遣のお仕事。二つ掛け持ちになる日もあって、そのぶん“備課”もかなりの量になるので忙しい。いずれの企業もみなさんものすごく熱心に勉強されていて頭が下がる。仕事で使うからモチベーションが高いのか、モチベーションの高い人を抜擢するからなのか。

  どちらかというとお堅い職業の企業が多いので、こちらもスーツにネクタイ姿。派遣のお仕事とはいえ、企業のみなさんがスクールにやってくる形なので、講師室にはほかの先生方もいる。女性の先生方からは「暑そうですね〜」などと、同情に、なかば非難の混じった(見ていて暑苦しいからか)声をかけられる。男性の先生方はもっと直裁で、「この暑いのにネクタイなんかしちゃって」とひやかされる。
  これは私の偏見かもしれないけれど、中国語の学校って、老舗のところほどこういうスーツにネクタイのような保守的(?)な格好に冷ややかなような気がする。政治思想的な経緯から「どちらかというと左寄り」の方々が多いので、こういう保守的かつ権威的な記号にどことなく反発を感じるのかな……などと深読みしてみたりして。
  私だってこの暑いさなかに、夏物とはいえ長袖のシャツを着て、ネクタイを締めて*1、上着を手に持って出勤するのはどうよと思うけれど、しかたないじゃない、お客様にあわせたTPOってものがあるんだから。
  それにスーツとネクタイって、暑いのを除けば実は楽な格好でもあるのだ。だっていくらなんでもジーンズにTシャツというわけにはいかないだろうから、そこそこちゃんとしたカジュアルにしなきゃならない。毎日カジュアルな服装で出勤しようと思ったら、かえって出費がかさむと思う。コーディネートだって私は大の不得意だし。そこへいくとスーツにネクタイは、組み合わせて着回しできる何着かがあって、きちんとクリーニングなりプレスなりされていればいいわけだから。

*1:ネクタイというのは見れば見るほど不思議な存在だ。何であんなものを首からぶら下げるようになったのだろうなあ。あと百年か二百年ほどしたら、コルセットやふくらんだ袖やシルクハットみたいに後世の人たちから奇異の目で見られるような存在になるのだろうか。スーツの作りもおもしろい。袖に三つも四つも過剰なくらいにボタンが付いていたり、襟がV字型に切れ込んでいて左側にボタンホールが開いていたり。あの襟を立てると詰め襟みたいなスタンドカラーになって、ボタンホールがちょうど襟元を止める位置に来るのだ。寒いときにはそうやって着るように作られていたのだろうな、もともとは。今では会社のバッヂをつける場所になってしまっているが。