インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

伝書鳩―もうひとつのIT

  北京を舞台にした映画、例えば『覇王別姫(さらば我が愛)』とか『民警故事(スケッチ・オブ・Peking)』などを見ていると、街の雑踏にまぎれて時折「ひょよよよよ〜ん」とか「ぎょよよよよ〜ん」などといった感じの、少々悲しげな音が聞こえてくる。昔からあれは何の音だろうと気になっていたのだが、北京出身の方に聞いても皆さん「知らない」という。

  ところが先日NHKの『世界ふれあい街歩き』で「北京・后海界隈編」を見ていたら、疑問が一気に氷解。なんと、鳩につけた笛の音だったのだ。そうか、以前コメント欄でpinmanさんが書いて下さっていたのはこの事だったのか。今の今まで気づかなかった。
  で、「積ん読」のままになっていたこの本を取り出して読んだ。すごくおもしろい。この本にも北京の鳩笛の話が出てくる。台湾でも鳩を飼っている人はたくさん見かけた。田舎に行くと屋根の上に大きな鳩舎を載せている家がたくさんあるのだ。現在ではみなさん愛玩用・観賞用、もしくはレース鳩として買っているだけで、通信用として飼われている伝書鳩はもういないのだろうなあ。
  これだけ電話やファックスやメールが発達した現代では想像もできない話だが、この本には古くから通信用に利用されてきた伝書鳩の様々なエピソードが収められている。軍事用・報道用をはじめ、遭難救助や宣伝のビラまきや、はては血液や牛の精液の輸送にも鳩は利用されてきたと知ってびっくり。
  終戦直後に皇居警備の目的で設置された「禁衛府」という一種の軍隊についての記述も興味深い。