インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

小玻璃

  白先勇の『孽子*1』日本語版がようやく発売になった。あらためて読み直しているのだが、原著を読んだときには読み飛ばしていたり、気付かないでいたりした様々な言葉が分かっておもしろい。やはり自分にとって中文はどこまで行っても靄のかかった風景だなと思う。
  “小玻璃”は、主人公・李青の友人・小玉のことを麗月姐が呼ぶ言い方だが、翻訳では「ゲイ坊や」となっていて、「へえ」と思った。調べてみると、“玻璃(ガラス)”は英語で同性愛者を指すスラング“frit”から来ているのだとか。“frit”はもともと陶磁器に使われるガラス質の釉薬のことなのだそうだ。
  『孽子』の日本語版には割り注*2の形でたくさん訳注が入っている。少し読みづらいけれど、登場人物一覧や台北市内の地図と合わせて理解の助けになる。表紙カバーもなかなかカッコいい。帯に「中国語文学の傑作」と入っていて、別に私が目くじらを立てることでもないけれど、これはせめて「台湾文学」とでもすればよかったのに、と思った。

*1:「げっし」と読むらしい。

*2:本文の途中に小さな文字で二行にわたって入る注。