インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

王力宏蓋世英雄日本演唱會

  渋谷・NHKホール。会場前でid:michiyonさんとid:marikさんにお会いした。
  この王力宏(ワン・リーホン)という人、昔は単なるルックスのいいアイドルだな〜という程度の認識しかなく(大変失礼しました〜)、それほど興味をもっていなかった。ところがデビュー十年目に出した『心中的日月』で、“Chinked-out”というコンセプトを打ち出してきたあたりから、がぜん気になる存在に。
  かつて西洋で使われていた中国人に対する一種の蔑称“Chink”を逆手にとって、「中華的」とは何かを掘り下げる……ということで、民族音楽や伝統的歌唱法、古典芸能などに取材してポップスやヒップホップの楽曲を作り始めたのだ。まあアメリカ生まれの華僑である王力宏が、自分のルーツを探求するために温故知新……って、「ありがち」といえばこれ以上ないくらいありがちなコンセプトではあるけれど、できあがってきた曲はどれも聴きごたえがあって、『心中的日月』とその後出た『蓋世英雄』は愛聴盤になった。
  で、コンサートはそれほど派手な演出もなく大人向けの味わい。ダンスやラップを披露する華やかなパートもよかったけれど、舞台の前の方でギターとベースとパーカッションのみでこぢんまりいくつか歌ったのが特によかった。これはねえ、NHKホールで黄色い声が飛び交う中でではなく、ブルーノートみたいなライブハウスで、お酒飲みながら聴けたらいいだろうなあ。
  リーホンはギターやピアノはもちろん、ドラムにバイオリンに二胡の演奏までこなして、そのうえ歌にダンスにラップに逆立ちまで。何というか、全然根拠ないけれど「育ちがいいんだなあ」と思った。
  二時間半たっぷり楽しんだあと、友人と落ち合って渋谷でジンギスカンを食べた。シャングリラとかホーミーとか新疆の『在那遙遠的地方』とか、そんなのがいっぱい出てきたコンサートの勢いで。

追記

  コンサート中、リーホンは日本の観客を意識して國語はほとんどしゃべらず、英語や覚えたての日本語で話していたが、やはり会場を盛り上げるのに少々苦労していたようだ。周杰倫(ジェイ・チョウ)がこの間のコンサートで試していたみたいに、原発言にオーバーラップさせながらのスピーディな逐次通訳を使うという方法も研究してみたらいいのではないか。
  けれど想像してみるに、男性歌手が例えば“大家開不開心〜?”と叫んだ直後に、男性通訳者の声が「ノってるか〜い?」などとかぶると、客席はかなり引いてしまうだろうな*1。こうなると「要らんお世話」の範疇だ。ここは女性通訳者の声で控えめかつ簡潔に入った方がしっくりくるような気がする。じゃあ女性歌手の場合は男性通訳者の声がしっくりくるかというと、も〜絶対にしっくりこない。聞きたくもない(笑)。

*1:まあこういう“互動”の部分は通訳など要らないだろうけど。