インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

ブロークバック・マウンテン

  この映画は感想を書くのが難しい。もちろんそれは同性愛を扱った映画だからではなく、とても静かで深みがあって、いつものような無責任でおちゃらけた感想を書くのが何となくためらわれるからだ。
http://www.wisepolicy.com/brokebackmountain/top.html
【ネタバレがあります】

  愛してしまった人がたまたま男だった。けれどあの時代、あの保守的な地域で、しかも彼らのあの境遇では理解されるはずもなかった――ただそれだけの物語なのだけれど、じーんと感動できる。強烈な愛の表現や悲劇的な結末は極力極力抑えて、淡々と話が進む。
  劇中、英語なんててんで聞き取れない私でさえ気になるほどセリフに“fucki'n”が多用されていた。日本人の我々から見ると、ジーンズもレザージャケットもカウボーイハットもレトロな街並みや自動車も、それなりにおしゃれで格好良く見えるし、字幕にも表しにくいだろうけれど、これはもしかしたらかなり柄の悪い田舎者たちの物語なんじゃないか。基本的には善良だけれど、粗野でダサくて無教養でそれほど裕福というわけでもない二人の二十年にもわたる愛――そういうふうに見たほうが一層味わい深い、と言ったらかなり傲慢で……やっぱり無責任かな。
  雄大なワイオミングの山々と深い青をたたえて怖いくらいの空、それにものすごい数のヒツジたちも印象的だった。それとアメリカの貧しい人たちって、本当に質素な暮らしをしているんだなあとも。★★★★☆。