インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

美しき野獣

  クォン・サンウとユ・ジテ共演のバイオレンス・アクション(というのも陳腐な表現だな)。この二人の映画はあまり見たことがなかったが、クォン・サンウは『同い年の家庭教師』や『恋する神父』から比べるとずいぶん大人びた感じ。一方のユ・ジテも『春の日は過ぎゆく』のいじいじ君とはずいぶん違った印象だった。
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【ネタバレがあります】

  クォン・サンウの演技はまさに「野獣」という感じで、鬼気迫るものがあった。やたら人が死んで血が流れるし、結末もかなり重くて救いがないが、まあそういう映画だから仕方がない。ユ・ジテのキャラクターは途中からえらく理性をなくして少々リアリティに欠けると思ったけれど、それ以外はあいかわらず人物がよく作り込まれている。
  政界に進出するヤクザのボス(ソン・ビョンホ)は、巨悪が極まるとかえってどこか崇高に見えるという雰囲気をよく醸し出しているし、検察で一人少々コミカルかつ人間味ある演技をしているおじさん(俳優名不詳)も韓国映画にはおなじみのテイストで、ドラマに奥行きを与えている。
  セットも抑えの効いたリアリティのある作り。クォン・サンウの母親が横たわる病院の乱雑なベッド周りなど、日本映画だったら絶対あんな風には作り込まない、いや、作り込めない。ああいうディテールに洞察力の深さというか、映画に対する姿勢の凄みみたいなものが出ると常々思っているのだが、どうだろう。また邦画を悪く言いすぎって言われるかな。★★★★☆。