インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

必笑小咄のテクニック

必笑小咄のテクニック (集英社新書)

必笑小咄のテクニック (集英社新書)


  ロシア語会議通訳者の米原万里氏が、小咄のさまざまな方法論を分析した本。なぜ笑えるのか、笑いを引き出すためにどういうテクニックが使われているのかを細かく紹介している。例として示された小咄を読んだり、オチを考える練習問題に頭をひねったりして楽しめる。
  私もそれらの方法論を参考にして小咄をひとつ作ってみようと思ったが、いや、私のような頭の回転が鈍い人間にはとてもムリ(^^;)。他愛ないバカバカしいことを言っているようで、その実小咄作りというのは相当高度な知性を必要とする作業だ。
  文中には、創作小咄のお株をうばうようなとんでもない社会や政治の現実がところどころ引き合いに出されていて、このあたりは米原氏ならではのテイスト。
  ところでこの本のあとがきにも書かれているが、米原氏はここ数年癌をわずらっているそうだ。先週の『週刊文春』(2月23日号)に掲載された「私の読書日記」でも、癌治療本を紹介する形でご自身の闘病記録を淡々とつづってらした。失礼ながらかなり大変な状況とお見受けしたが……。
  そんな中で書かれたこの小咄に関する本といい、「読書日記」での情緒に流れない冷静な分析といい、ほんとうに強い人だなあと思う。