インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

ジークフリート・ラムラー氏講演会

  ニュルンベルク裁判で、ごくごく初期の同時通訳現場に関わった経験を持つ、ジークフリート・ラムラー氏の講演会を聞きに行ってきた(東京外国語大学府中キャンパス)。
  ニュルンベルク裁判で、英語・ドイツ語・フランス語・ロシア語間の同時通訳がどのように計画され、実行されたか、この裁判が戦後の国際法のあり方や「人道に対する罪」の裁判などにどんな影響を与えたか等々、興味深い内容。
  ただ講演の比重はどちらかというと「戦勝者による断罪」批判に対する批判や、ドイツと日本の戦後処理の違い、現代の国際政治や国際政治裁判所(http://pol.cside4.jp/kokusai/37.html)などに置かれていて、通訳技術や通訳訓練などの話題はそれほど多くなかった。
  質疑応答で、確か通訳者として第二言語の習得や能力向上のために何が有効かという話題になって、「現世利益」万歳の安直で下世話な私など思わず身を乗り出したが、「外国語に常時触れていられる環境に積極的に身を置くのがいちばん」……とまあ、そうですわなあ。「王道なし」と。
  質疑応答の最後で、「これからの国際交流は事実上三大言語に集約されていくだろう。すなわち英語・中国語・スペイン語だ」と極めてはっきり言い切っておられたのが印象深かった。EUなど、むしろ通訳対応言語を増やしていく傾向にあると聞いたことがあるが、やはり三大言語の一人勝ち(三人勝ち?)ですか、効率を考えると。何だかさびしい世界のような気もするが。

  それにしても……。
  こんなこと書くとまた非常にエラソーだが、こうした講演会やシンポジウムの質疑応答で質問に立たれる方って、ときにやや焦点の定まらない質問だったり、質問じゃなくて意見表明だったり、マイクを持たずに話し始めたり*1、しかもそれらが早口の英語だったりすることが多いなあ。日本での講演会で、英語が不得手な聴衆もいるし、しかも同時通訳つきなのだから、日本語で簡潔にしゃべってあげたらいいのにね。
  でもラムラー氏は、時にユーモアを交えつつていねいに答えていた。同時通訳を担当されていた東京外国語大学の院生のみなさん、お疲れさまでした。

*1:マイクから発言をひろっている同時通訳者の存在を忘れてらっしゃる。