インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

外堀

  最近仕事や私用で飯田橋に行くことが多いのだが、いつもひとつ手前の市ヶ谷で降りて、ひと駅分歩くようにしている。運動不足の解消になるし、経済的だし。私は京王線沿線に住んでいるので、笹塚から都営新宿線直通で市ヶ谷まで乗り、そこで東京メトロ有楽町線もしくは南北線、あるいはJR総武線に乗り換えて飯田橋まで行くと割高なのだ。
  市ヶ谷から飯田橋までは、かつての江戸城の外堀が続いており、堀の内側の土手はかなり高くなっていて見晴らしがよく、松や桜が植わっている中に遊歩道が通っている。人通りもそれほど多くなく、堀の外側(つまり外堀通り沿い)みたいに交通量が多くないからわりあい静かだ。ここを語学テープなど聴きながら十五分ほど歩く。春のような日差しが多くなってきた最近は特に気持ちがいい。
  午後から仕事があるときは、少し早めに行って飯田橋の手前で右に折れ、「青葉」というラーメン屋に寄る。中野の「青葉」の支店だそうだが、昼時は行列のこの店も十一時半頃ならすぐに座れる。「青葉」のラーメンはおいしいとは思うけれど、私にはちょっと塩が強すぎる。あと一割ほど薄味になるといいんだけどなあ。
  仕事に向かう時は元気があるのでこうやってひと駅歩くが、帰りは根性がなくなって飯田橋から地下鉄に乗る。けれどたまに余力があると帰りは外堀通り沿いを歩き、なぜか途中にぽつんとある「肉のハナマサ」というスーパーに寄る。このスーパー、どうやら業務用食品ばかり扱っている店のようで、かなり安い。生鮮食品には手が出ないけれど(量が多すぎるし、あまりの安さにちょっと不安になったりして)、輸入ワインが500円とか498円とか、超格安で売られているのでよく買って帰る。しかもフランスやイタリアの結構おいしいワインがあったりするのだ。
  ハナマサでワインを買ったら、すぐ先で左に折れて堀を渡り、法政大学の前から市ヶ谷の駅に向かって遊歩道を進む。この間夜にここを歩いていて、ふと気づくと十数メートル前にいきなり人間の顔が出現してかなり驚いた。黒いコートの若い女性が、i-モードで検索でもしていたのか携帯電話を胸の前に持ったままこちらに向かって歩いていたのだ。画面の光がちょうど顔を照らし出していて、顔以外は周りの闇に紛れていて、かなり不気味な雰囲気だった。
  桂文珍が、「携帯を前に掲げた姿は、なにやら手に位牌を持っているようでんな」と言っていたが、確かにそんな感じ。

追記

  今日も今日とて、ハナマサでワインを買ってきた。「なんとかセール」とかで、すでに充分安いワインがさらに激安で、三本900円とか! しかも結構よさそうなデイリーワイン。ワインなんて一日じゃ飲み干せないから*1、こりゃビールや発泡酒より割安だ。

*1:バキュバンで空気を抜いて、二〜三日持たせる。