インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

書の至宝

  東京国立博物館で開催されている。大陸と日本の書の名品が一堂に会すという、すごい展覧会だ。
http://www.asahi.com/sho/
  何がすごいって、王羲之の『喪乱帖』『蘭亭序』・歐陽詢の『九成宮醴泉銘』のような、門外漢の私でも名前だけは知っている名品を始めとして、蘇軾(蘇東坡)が李白の詩を行書にしたためたのとか、聖徳太子が書いたお経の解説とか、空海が最澄に宛てた手紙*1とか、一休宗純(あの「一休さん」だ)が晩年にえいやっと揮毫した『一行書』とか、紀貫之の「かな」とか、他にも良寛だの本阿弥光悦だの藤原行成だの頼山陽だの池大雅だの……いや、よく集まったものだ。
  王羲之などは真筆が残っていない*2から、写しであったり拓本であったりするのだが、それでも引き込まれる。あの『水調歌頭』の蘇軾本人が書いた文字を目の前にするなんて、何だか信じられない。聖徳太子の文字は、これは女子高生の丸文字か……。
  大陸の作品の、漢字ばかりが整然とあるいはリズミカルに並ぶ風景もすごいが、日本の作品の、漢字を受容してかなに変化していく過程もすごい。「すごい」ばかりで語彙が貧弱だが……すごい。
  九時半の開館と同時に入るのがおすすめ。で、最初から順番に見ないで、お目当ての作品だけ先にゆっくり見る。でないとすぐに人であふれかえって、そうなるともう「ベルトコンベア」状態だから。
  会期中作品の入れ替えがあって、王羲之の『喪乱帖』などは一月二十二日までしか展示していない。逆に王羲之の『孔侍中帖』や良寛の『詩書屏風』などは会期後半だ。いろいろなところから借りているから、仕方がないのかな。それと音声ガイドリストを借りたのは正解だった。
  墨で書かれた文字がほとんどの展覧会だから、文字や書に興味がない方にはえらく地味な展示に思えるだろうけど、文字をじっと見ていると、その人の息づかいまで聞こえてくるような気がして、私はかなり興奮した。
  三月からは上海博物館でも開催されるらしい。

*1:冗談みたいだが、ほんと。

*2:お墓に持って行っちゃった皇帝がいるんだそうだ。以前、ゴッホの絵を棺桶に入れろと命じてひんしゅく買った社長がいましたな……(^^;)。