インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

皮給我巴緊一點。

  フリーター的な立場の若者が「仕事をやらせて下さいよぉ」と泣きつくと、仕事の元締めふうの男が“皮給我巴緊一點”と言うのだが、さてどう訳そう。
  直訳すると「皮を俺のためにもう少し“巴緊”しろ」ということだが、まずこの“巴緊”がよく分からん。で、例によっていろいろ検索してみると……

皮給我緊一點
皮給我緊一點
皮給我緊一點
皮給我緊一點
皮給我緊一點
皮給我緊一點
皮給我緊一點
皮給我緊一點
皮給我緊一點

  ……なんかもー、無数にバリーションが引っかかる。要するにこの真ん中の“巴”があやしい。こういう時は多分台湾語なんじゃないか、とあたりをつける。台湾語には元々文字がないので、音の同じ、もしくは音の似た漢字で代用されることが多いのだ。そこで台湾語の辞書をあたると、“ba”には「干からびる」に近い意味があるらしい*1。なるほど“乾巴巴(パサパサの)”“鍋巴(おこげ)”の“巴”だ。となると無理に台湾語と考えなくてもいいか。というわけで振り出しに戻る。
  他の“捏緊”“抽緊”“磞緊”から類推するに、皮をぎゅっと引っ張って、あるいは引き締めて“巴”という状態にしておけ、と読める。“緊”は結果補語ね。慣用表現の“硬著頭皮(頭皮を硬くして→本当は嫌なんだけれど思い切って)”を連想する。“皮給我巴緊一點”も多分似たような表現なのだろう。「しゃんとしろ」とか「生半可な気持ちじゃだめだ」とか「覚悟はできてるんだろうな」とか、そんな感じか。
  というわけで冒頭のシチュエーションでは……う〜ん、「楽じゃねえぜ」。_| ̄|○

*1:楊青矗編著『台華雙語辭典』敦理出版社