インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

どぜう。

  通訳者の先輩や仲間の皆さんと、都内某所のどじょう料理専門店に行く。老舗だけあって店内は雰囲気のある和風のたたずまい。私はあぐらがかけない人間なので(正座か横座りしかできない)座敷は少々辛いが、やはり雰囲気があっていいなあ。
  直径十五センチくらいの小さな極浅の鉄鍋にどじょうがびっしり並んでいて、牛蒡や葱をたっぷり乗せ、たれをかけ回しながら煮る。柳川は食べたことがあるが、この「丸鍋」は初めて。すごくおいしい。この味と風情、外国からのお客様を連れて行っても喜ばれるんじゃないかな。
  ここのどじょうは生きたまま酒に三十分ほど浸し、そのあと味噌で煮て下味をつけるという。こうすることで骨ごと食べられるようになるのだとか。九割がた軟らかく煮たものが薄い鉄鍋に並べられて供される。目の前のコンロで数分間煮ればもう食べられる。煮上がるのが待ちきれないせっかちな江戸っ子のために考え出されたんだそうだ。
  本来は夏の料理だそうだが、日本酒を飲みながら小鍋をつつくのは冬にもぴったり。どじょうも葱もたくさん食べたし、これで風邪も治るかな。