インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

月光の下、我思う

  その布袋腹・ひげ面・チェーンスモーカーといった外見からはおよそ似つかわしくない(失礼)詩的な映画を作る林正盛(リン・ジェンシェン)監督の新作。
【ネタバレがあります】

  戦後十年から二十年くらい経ったあたりとおぼしき、台湾は緑島を沖に望む台東を舞台に展開する物語。主要な舞台となる小学校では、あちこちに「大陸反攻」の意気込みがまだ生々しい当時の雰囲気が描き込まれ、登場人物のセリフには日本語が多く混じるという、とても台湾らしいディテールで個人的には大好きなテイスト。
  だが物語が淡々と進行しておよそ八割近くまではあまりに淡々淡々……なので、「これは一般ウケしないだろうな」などと余計な心配などしていたところ、おおっといきなりこういう展開かい! という大波が待っていた。あの厳格そうな母親が、こともあろうに娘の彼氏に対してあそこまでの痴態で迫るとは……さすが林正盛監督だ。★★★☆☆。