インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

素数の音楽

素数の音楽 (新潮クレスト・ブックス)

素数の音楽 (新潮クレスト・ブックス)


  素数というのは1とその数自身のほかは割り切ることができない正の整数のこと。この本は2・3・5・7・11・13・17・23・29・31・37……と不規則な心拍のように無限に続くこの素数に魅せられ、その秘密、とくに「リーマン予想」を証明しようと奮闘してきた数学者たちの列伝だ。
  高校時代、私は文系クラスだったにもかかわらず、なぜか数Ⅲの授業をとらされた。だいたい数学が苦手なために建築家や天文学者になる夢をあきらめた私だというのに、数Ⅰや数ⅡBでさえも赤点・追試の連続だったというのに、いったいどないせえっちゅうねん。
  しかし、この本はそんな私でも興奮のうちに読み終えることができた。素数の秘密を探り続けていくうちに、それがやがて数学を超えてインターネットの暗号技術や量子物理学にまでつながっていく壮大なドラマには身震いするものを感じる。
  かんじんの「リーマン予想」については、私の頭では三読してもなにやらよくわからないものがあるが(それじゃこの本の大部分がわからないにも等しいんだけど)、素数が非常にミステリアスで美しいものであるということは共有できた。『素数の音楽』というのはとても秀逸な題名だと思う。