インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

アムトラック戻り

その日のうちにニューヨークに戻る予定でアムトラックのチケットを買っておいたのだが、駅に着くとまだ一時間以上余裕がある。しかも時刻表を見ると一時間はやく出発する列車があるではないか。あと五分くらいしかなかったが、窓口に飛んで行って換えてくれるよう交渉する。窓口のオジサンはこちらが焦っているのを尻目に悠長にパソコンのボタンを押して大儀そうにチケットを発行してくれた。駆け込みで、本当に扉が閉まる瞬間に飛び乗ってセーフだった。
後ろの席に日本人のビジネスマンが一人乗っていて、ノートパソコンに向かって仕事をしていた。“Acera”は全席にパソコン用の電源が用意されていて便利だ。と、携帯電話で話す声が耳に入ってくる。聞く気もないのだが、日本語だし、彼の声が大きいのでいやがおうでも入ってくるのだ。家族と話をしているようだ。
「パパは今日はお仕事で帰れないの。いい子にしてなさいね。じゃあね」……と電話を切ったそのすぐあとで、同僚に電話をしてニューヨークで「女のコを買う」相談をしている。別に私だってひとさまに何かを言えるほど高尚な人間じゃないが、なんだかなあ。少なくともまわりに日本人がいるかもしれないってことくらい想像して声を抑えたほうがいいですよ。