インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

紐約行(1)

予算の関係で仕方がないことなのだけれど、エコノミークラスで十時間以上も座り続けているのはやはり疲れる。いつぞや新聞のコラムで見かけた“座在不太人道的經濟艙……”というフレーズを思い出す。これでも以前は大陸で列車の“硬座”で昼夜強行軍とか、長距離バスで何十時間もかけて砂漠を横断とか、むしろ喜んでやっていたはずなのだが、もう絶対にいやだ。年を取ったということなのか、常軌を取り戻したというべきか。
ユナイテッド航空の機内は割合すいていて、隣の席には人がいなかった。離陸前の安全レクチャーで「みなさまもう十分にご理解かとは存じますが、十数時間のフライトで一番大事な数分間です。どうぞ新聞等をお置きになって説明に耳をお傾けください」などと啓蒙的なアナウンスが。北京語のアナウンスはとてもノリのいい明るい声で、あ、この人はアメリカ生まれの華僑かしらんなどと勝手な想像をする。
機内食が三度も出て食べきれない。うち一回は「きつねラーメン」というカップ麺とバナナとクッキーという軽食。フライトアテンダントがカップ麺にお湯を注いで回るのがなんだかおかしい。