インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

華氏911

子供の頃からアメリカの文化に憧れていた。小学生の頃は日本上陸間もないMister DonutやMcDonald'sによく連れて行ってもらったし(父親がけっこう新しもの好きだったのね)、中学生の頃は“The Official Preppy Handbook”という本にハマって、一度も袖を通したことのない「アイビー・ルック」や「アメリカン・トラッド」の洋服に憧れた*1。高校生の時は“Popeye”や“Hotdog Press”なんかより、もっと直接にアメリカ文化をかいま見せてくれた“All Right!”という雑誌*2がお気に入りだった。大学生の時も、コンテンポラリー・アートの中心地として、アメリカに対するあこがれは変わらなかった。その割に英語の成績は惨憺たるものだったが(笑)。
それから幾星霜、アメリカという国が自分の意識の中でここまで変わるとは思っても見なかった。アメリカってどうしてこんなに傲慢で、ひとりよがりで、神がかっているのだろうか。日本の政権の中枢にいる頭のかたい政治家や、老後の損得しか考えていないお役人以外は、かなり多数の人達が同じような思いを共有し始めていると思う。
この映画はそうした思いが特に決定的となったここ数年のアメリカを、その流れを作った張本人のジョージ・W・ブッシュ大統領を「主人公」に描いて見せたドキュメンタリー。確かに諷刺が効いているのだけれど、そこで語られるエピソードがどれもこれも身も蓋もないくらいあけすけで独善的なので笑えない。様々な妨害にもめげず、全米でも公開されてヒットしているそうだが、それでも支持率や大統領選の予想ではいまだに「ブッシュ優勢」なんだなあ。★★★★☆。

*1:その影響で、今でもスーツはみんな三つボタン一つがけ段返り+フックベント+パンツはノータックという、これでもかの「アメトラ」スタイルばかり。

*2:CBSソニー出版。売れ行きが悪かったのか、ほんの数号で休刊になったと思う。