インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

パーネ・アモーレ

田丸公美子/文春文庫/ISBN:416767923X)を読む。あのロシア語通訳者・米原万里氏から「シモネッタ」なるニックネームを譲られたという*1、日本最強のイタリア語通訳者・田丸公美子氏のエッセイ集。米原氏の『不実な美女か貞淑な醜女か』と双璧をなすおもしろさである。両氏に限らず、通訳者の女性には達意の文章をものする魅力的な方が多い。
第一線で活躍する会議通訳者の舞台裏や、日々の地道な努力も興味深く、私など何度も「ああ、ここまではできない」と、自分がその通訳の現場にいるわけでもないのに妙に怖じ気づいたりする。かと思えば、田丸氏の駆け出し時代のエピソードを読んで、「最強と言われる田丸氏にもそんな時代があったのか」と励まされたりもする。
ユーモアに長け、イタズラ好きで、ステキな男性には目がない。田丸氏の数々の「武勇伝」を読んでいると、本当にこんなことあるんだろうか、創作が入っているんじゃないのか? と思えてくる。だが、巻末の米原万里氏による解説を読むと、ご本人はさらに輪を掛けてゴージャス&「シモネッタ」であるらしい……恐ろしい。
とはいえこの本、実は少しも下卑たところのない、洒脱でユーモアにあふれた上品な本なのだ。もう自分でも書いていることが支離滅裂だが、本当にそうなのだ。読んでいただければわかる。

*1:シモネタにおいて右に出る者なしだからだそうな。