インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

雨の降る日曜は幸福について考えよう

橘玲/幻冬社/ISBN:4344006712)を読む。
いつまでも若造だ、駆け出しだと思っていたら、いつの間にか健康診断のがん検診項目だとか介護保険料の納付だとかがもうすぐ目の前に、というところまで来ていた。以前よりは自分の人生全体を鳥瞰するような形で見渡し、「人生設計」なんぞを考えるようになった。みなさんはもっと早いうちから考えてらっしゃるのかもしれないけれど。
以前二年間だけ社会保険関係の出版社で編集者をしていたことがある。ものすごく忙しい会社だったが、厚生年金関係の出版物を担当したおかげで、ずいぶん年金制度について勉強させてもらった。営業さんと一緒にお客様の所に出向いて編集プランを立てるスタイルだったので、年金福祉事業団や各厚生年金基金に天下っている元官僚のとんでもなさ*1もかいま見ることができたし、国の公的年金制度のどうしようもない破綻ぶりもとてもよく理解することができた*2
この本には「年金制度を廃止しよう」「福祉のない豊かな社会」などと一見過激な見出しが並ぶが、論旨はいたって冷静かつ現実的。投資や利殖や貯蓄の具体的なアドバイスを期待すると肩すかしを食うが、自分の人生を立ち止まって考え直してみるきっかけにはなるかもしれない。
私はこういう本がけっこう好きで、ロバート・キヨサキ氏の『金持ち父さん貧乏父さん』シリーズも何冊か読んだし、橘玲氏の本は『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『得する生活』に続いて三冊目。いずれも特に大きな衝撃を受けたということはなかったが、これらの本を読むと確実にサラリーマンがあほらしくなってくる(笑)。宮仕えをやめた私の背中を押した遠因くらいにはなっているかもしれない*3

*1:これを書き出すと山ほどエピソードがあって止まらなくなり、血圧も上がるので今はやめておきます。

*2:理解したうえで、「公的年金は世代から世代への贈り物」「手厚い給付に充実の福利施設」などと厚生年金基金の天下りお役人のゴーストライターをやっていた罪は重いですね。

*3:といってもインハウス通訳者をやっている今は、実質的にサラリーマンに近い、いや福利厚生が薄いぶん、サラリーマンより条件はよくないかな。年収は増えたけど。