インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

妳的理由

後ろに見えているのが緑島かな? この人の笑った顔は、留学時代のクラスメートで今は香港に赴任しているある友人にそっくり。どうでもいいけど。基本的に私は、自分で曲を作っていない「アイドル」のうたにはあまり興味がない。声がいいとか歌い方がうまいとかいうだけなら掃いて捨てるほどいるわけで*1、私はなにより、アーティストの「歌詞を書くことができる」とか「作曲ができる」という自分にはない才能に憧れ、感動するタイプなのだ。
この点で、最近は台湾の、特に若手の男性アーティストに掘り出しものが多い。陶喆*2周杰倫は別格として、その他にも一年半ほど前に相次いでデビューしたふたりの林(はやし)くん、つまり林俊傑林子良や、それから南拳媽媽なども本当に才能を感じさせてくれる。しつこいようだが、こういうクリエイティビティは生まれついてものであって、学習や努力で身につくものではない。音楽でも文学でも美術でも、その厳然たる事実が作品に感動するベースになっている。少なくとも私はそうだ。
というわけで、少し前に登場した楊家成(ジェレミー・ヤン)という、徳川家の坊ちゃんみたいな名前のアイドルが出てきたときは、とくに注目もしなかった。
新聞記事などでは、特に自分で曲を作っているようではなかったし、テレビでヘビーローテーションしていた『共同體』という曲も、Aメロとサビしかないというあまりに単純すぎる構成*3に加え、

快樂也要愛/辛苦也要愛/相信就是真理
幸運也要愛/倒楣也要愛/我們是命運/共同體


楽しみにも苦しみにも愛が必要/信じることこそ真理
幸運にも不運にも愛が必要/僕たちは運命共同体

……などというトホホな歌詞で、言葉は悪いが大陸あたりで毎年量産されている三流アイドルの雰囲気が濃厚だった。かろうじて歌い方はまあ上手だな、というくらいの印象しかなかった。


ところが。
最近別の『妳的理由』という曲がテレビに流れ始めたのだが、これがいいのだ。この曲に惹かれてついにジェレミー(笑)のデビューアルバムを購入してしまった。
あれ? バック・ストリート・ボーイズのカバー? と思ってしまったメロディアスな旋律は、なんとK-POPが元歌だった。ううむ、ますますあなどれない(あなどってないが)、韓国のポップス*4
MVは、これ、たぶん台東付近の海岸から緑島が見えるあたりじゃないかなあ。なかなか爽やかな雰囲気で、歌もうまい。歌がいいと、歌詞も、

我只想對你說/Yes I love U so much
這世界的可能那麼多/此刻我卻擁有你在我的左右/Say yes I love U always
人存在的理由很多/我卻只有你一個


きみに言いたいのはこれだけ/Yes I love U so much
世界には可能性があふれているけれど/でも今はきみをそばに抱き寄せていたい/Say yes I love U always
生きる理由はたくさんあるけれど/僕にはたったひとつ/きみだけ

……と、なにやら深みがあってかっこよく読めてしまうではないか(笑)。なんだか自説にぜんっぜん説得力がありませんな。
この人もカリフォルニアだかロサンゼルスだかの華人社会で育ち、コンテストで一番になったことをきっかけにデビューしたのだとか。
アルバムには他に林子良が作詞・作曲のうえ編曲までしている『她有』という曲も入っていてお買い得。ちょっと甘すぎる声が気になるが、アレンジが林子良〜という感じでなかなかよろしい。
このアルバム《Baby Come To Me 抱抱我》はここ↓で視聴できる。
http://big5.chinabroadcast.cn/gate/big5/gb.chinabroadcast.cn/4221/2004/08/19/112@271996.htm
視聴っていうか、全部聴けちゃうんですけど……。ここまでネットで流しちゃったら、アルバムなんか売れなくなっちゃうんじゃないの?

*1:それはそれで「大したこと」ではあるが、カラオケなんかでこれ見よがしに美声を聞かせる輩にゃムカムカするだけですからね、ええ、ひがみですとも、はい。

*2:もう「若手」じゃないかな?

*3:“A Mystery Call Love”という洋楽のカバーらしい。

*4:“ONE”という曲らしいのだが、いろいろ検索してみたけれど、誰が歌っているのかはよくわからなかった。