インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

航站情縁

航站情縁スティーブン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演の佳品。原題は“The Terminal”だったかな。ずいぶん前から予告編を上映していて、最近ようやくロードショーになった。「カルコージア」という旧ソ連邦の小国をイメージしているらしい国(架空)からニューヨークにやって来たヴィクトルという男。飛行機に乗っている間に祖国で政変が発生し、ビザもパスポートも無効になってしまう。結局アメリカに入国することも、祖国へ帰ることもできなくなり、やむなく空港ターミナルに留まらざるをえなくなる……というストーリー。
(以下は予告編の範囲で、ネタバレはありません。)
パリのドゴール空港に「住んで」いる実在の人物をモデルにした映画らしい。とはいえ全体としては軽いコメディ。ほとんど英語を話せないままアメリカに来てしまったヴィクトルが、空港の役人とすれ違いの会話をするシーンや、空港内のトイレで身体を洗ったり、改装中の出発ロビーに住み着いたりといったシーンに爆笑。かと思えば様々なエスニックの職員が働く国際空港で、彼が次第に共感を得ていくところや、そもそも彼がニューヨークにやってきたその本当の理由にまつわるエピソードなど涙するシーンもいっぱい。
それにしてもトム・ハンクスの藝達者なことといったら。英語はペラペラのはずなのに(当たり前か)、ほとんど話せない外国人の役をうまく演じている。途中でトラブルを引き起こしたロシア系とおぼしき男性の通訳をするシーンもあって、意思の疎通ができないことのもどかしさが、なかなかリアルに伝わってくる。脇役達もみんな演技がうまくて、全体としてはフィクションだということが分かり切っているのに、素直に物語にひたれる。個人的にはこういう作品がいちばん映画らしい映画じゃないかと思う。
フライト・アテンダント役のキャサリン・ゼタ・ジョーンズがまた美しい。ハリウッドお決まりのキスシーンは取ってつけたようだったが、あまり「ヒロインヒロイ〜ン」という感じで前に出てこない扱いもマル。