インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

午前と午後で別々の技術会議、逐次通訳。特に大きな混乱もなく、それぞれ三時間ほど、合計六時間で終了。午前中はプラントの操作に関する内容だが、数日前に台湾側と下打ち合わせをしていて、その時にアウトラインを理解していたので非常にスムーズに訳出が進む。
午後の会議はちょっとややこしい材料関係の分析報告。今朝になってようやく資料ができあがったが、基本的にはこれまで何度も通訳を担当してきた内容。しかも会議のために日本から出張してきた研究者が通訳者にとても理解のある人で、細かいレジュメをわざわざ用意してくださっていたので、こちらも問題なく終了。
……だめだ、こんなんじゃ。
専門用語が頻発する技術会議なのに、自分にあまり張りつめたものがない。いや、発言を聞き、訳す瞬間は緊張しているし、精神を集中してもいる。だが今回、この会議のために多少の調べものをしただけでほとんど予習と言えるような予習をしていないし(すでにしなくてもすむくらい理解してしまっているし、単語集も以前に作ったものがそのまま使える)、会議前のあの何とも言えない緊張感*1に著しく欠けている。
大いに反省。自分の訳出が完璧でなどあるわけがない。通訳の「品質」を高めるために、できることはまだまだたくさんあるはず。

*1:ロシア語通訳者の米原万里氏は『不実な美女か貞淑な醜女か』(新潮文庫)で「……当日は、泳ぎがまだろくに出来ないのに足のとどかない深みに飛び込むような、諦めと自棄っぱちと向こう見ずが団子になったような気分で会議場に入っていったものだ」と形容されている。言い得て妙。