インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

zongtong.jpg台湾総統列伝』(本田善彦/中公新書ラクレ/2004年)を読む。蔣介石率いる国民党の台湾への撤退から今年の陳水扁総統再選まで、歴代四人の総統*1を軸にしながら台湾の戦後史をまとめた本。大陸とアメリカの狭間で揺れる台湾の立場をわかりやすく解説しており、読み物としてもおもしろい。非常にすぐれた仕事だと思う。
日本人にとって一番印象の薄い蔣經國が実は台湾の戦後に一番大きな役割を果たしたこと、逆に日本で人気のある李登輝にまつわる権力闘争や“黒金(暴力団と金権政治)”の影など、長年台湾のマスメディアに関わってこられた筆者だけあって、その分析は冷静で多岐にわたる。この本で初めて知ったこともたくさんあった。これを読むと小林よしのりの『台湾論』などがかなり薄っぺらく感じられる。陳水扁や連戦・宋楚瑜後の「次世代」と目されている馬英九や蘇貞昌についても触れられており、台湾の近現代を政治史から俯瞰するのに最適。

*1:正確には蒋介石の没後「中継ぎ」をつとめた厳家淦を含め五人。