インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

朝礼の訓示を通訳している時、台風対策や梅雨の話題が出た。亜熱帯の台湾にも、もちろん台風や梅雨があり、“颱風”“梅雨”でそのまま通じるから訳しやすい。次に「日本では『五月雨(さみだれ)』という言葉がありまして、これは旧暦の五月頃に降る長雨、つまり梅雨のことであります」とスピーチが続く。これもまあ“在日本,我們把‘梅雨’叫做‘五月雨’,是因為……(日本では梅雨のことを五月雨といいます。というのは……)”などと説明しながら訳せる。
続いて「五月の蠅と書いて『五月蠅い(うるさい)』と言いますが、これも蒸し暑い梅雨の季節に虫がたくさん発生するからなんですね」とおっしゃる。メモしながら体温が上昇するのを感じるが、しかしまあ“日語有一個詞匯‘五月蒼蠅’,意思是説……(日本語には「五月の蠅」という言葉があります。その意味は…)と説明して乗りきる。さらに「五月の晴れと書いて『五月晴れ』、これは梅雨の中休みでありまして……」と興に乗る発言者。さらに汗をかきつつ“五月晴天”と説明してしのぐ。
これらの説明的な訳出、日本と台湾の文化や気候風土が似通っているからそれほど苦労せずにできる。南半球だとか、梅雨がない地域だとか、蠅をめったに見かけない地方とか(あるのかどうかは知らないが)、文化背景の全く異なる場所だと話はそう簡単ではないだろう。
このあと「そういえば競馬に『皐月賞』というのがありますな」などとのたまったらどうしようと思ったが、幸いそこまでには至らなかった。“皐”なんて読めないよ *1

*1:調べた。gao1でございます。ちゃんと“皐月(gao1 yue4)”という言葉も辞書に紹介されていた。まったくもって恥ずかしい。